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平成 8年第 1回定例会−03月13日-03号
平成 8年第 1回定例会−03月13日-03号

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  1. 熊本市議会 1996-03-13
    平成 8年第 1回定例会−03月13日-03号


    取得元: 熊本市議会公式サイト
    最終取得日: 2022-11-22
    平成 8年第 1回定例会−03月13日-03号平成 8年第 1回定例会   平成八年三月十三日(水曜)   議 事 日 程 第三号   平成八年三月十三日(水曜)午前十時開議   第 一 質 問                  午前十時二分 開議 ○議長(荒木哲美君) ただいまより本日の会議を開きます。      ───────────────── ○議長(荒木哲美君) 日程第一「質問」を行います。順次発言を許します。嶋田幾雄君。        〔四十三番 嶋田幾雄君 登壇 拍手〕 ◆四十三番(嶋田幾雄君) おはようございます。自由民主党熊本市議団の嶋田幾雄でございます。  平成八年第一回定例会、いわゆる予算議会に当たりまして、その冒頭に質問の栄誉をお与えいただきました議員各位に対しまして、まずもって厚く御礼を申し上げる次第であります。  さて、昨年一月十七日未明、突如として起こりました阪神・淡路大震災が、六千三百名を超える犠牲者を出し、未曾有の大被害をもたらしてからはや十四カ月が経過をいたしました。  さらには、こうした自然災害に加えて、オウム真理教による地下鉄サリン事件などという、我が国においてはおよそ考えられない無差別大量殺人事件が引き起こされ、一連の事件とともに、凶悪にして悪質きわまりない事件に国民は大きな驚きと衝撃を受ける大事件を経験いたし、危機管理体制の確立の必要性を再認識いたしたのであります。  昨年は戦後五十年という大きな節目の年にありながら、このような出来事の発生に加えて長引く不況が重なり、まことに困難をきわめた年として、ことしこそは安らかな年であってほしいと心から深く願いながら平成八年の新春を迎えたわけでありました。  激動する内外の情勢の中、重要政策の一つは、景気の本格的な回復と経済構造の立て直しであり、一日も早く景気を本格的な回復軌道に乗せ、二十一世紀に向かっての我が国の将来に明るい展望を切り開くことであります。  国にあっては、平成六年から七年にかけて所得税減税の継続、景気に配慮した平成七年度予算、緊急の円高経済対策を実施する補正予算、昨年十月、事業規模としては史上空前の総額十四兆二千億円の経済対策を実施するための補正予算が成立をし、徐々に効果をあらわし、国際協調による円高是正とあわせて、本格的な景気回復の兆しが見え始めたのであります。  米ソ対立の冷戦が終わり、社会主義イデオロギーが破綻をして、自由主義と民主主義、あるいは市場経済が世界のほとんどの国家や政党の普遍的な価値観となったとき、政党間の主張の違いは薄れてしまい、あえて申し上げますならば、大きなその対立軸というものは、大きな政府か、小さな政府かということになってまいりました。
     今このような時代変革の中で、我々はかつてこれまで経験したことのない、さまざまな困難に遭遇をいたしております。かつての考え方や手法、それらが通用しなくなり、多くの人々がまるで自信を失っているかのように見える今日、戦後五十年、幾多の大きな困難を克服してきた我が国は、まさに日本人の持つ、たくましい活力とすぐれた英知をもってこれからの未来を一つ一つ確実に、誠実に解決をし、さらなる日本の繁栄を築いていかなければならないときだと思うのであります。これはひとしく我が熊本市においても当てはまるテーマであります。  きょうは、このような観点に立って本会議での議論を進めたいと思っておりますので、三角市長を初め、執行部の皆様には、どうぞよろしく御答弁いただきますよう心からお願いを申し上げる次第であります。  本論に入ります。  平成八年度の国の予算あるいは地方財政計画を見てみますと、国の予算は見かけ上の伸び率こそ五・八%と、平成三年以来五年ぶりの高い伸びとなっておりますが、これは実際に、これまで景気対策等で大量発行してきた国債の償還が六六・九%と著しく伸びたことによるものであり、政策的経費である一般歳出は二・四%増に抑制をされております。  一方、これらの財源としての国税収入は、景気の動向を反映して前年度比マイナス四・四%となり、その財源不足を補うための国債発行額は過去最大規模の二十一兆円を超え、公債依存度も二八%に達するなど、まさに国家の財政は危機に瀕しているのであります。  このことは地方においても同様であります。地方財政計画の中における地方の財源不足額は八兆六千三百億円にも達し、減税影響分二兆八千七百億円を除く、通常分だけで見ましても五兆七千五百億円が見込まれるなど、仮に景気が回復した場合においても、少々の税収の伸びではとてもカバーし切れないほどの額になっているのであります。  これらの財源不足は、国、地方、いずれも公債の発行によって賄うこととなっておりますから、平成八年度末の公債残高は、国において約二百四十一兆円、地方において約百三十六兆円と、年間の国家予算において三・二倍、地方財政計画額において一・六倍にも上る額に達する見込みなのであります。今後の高齢化、少子化社会の進展による高齢者福祉対策など、社会保障費の急激な伸びと相まって、この債務償還が将来の財政に大きくのしかかってくるのではないでしょうか。  このような厳しい財政環境の中での本市の新年度当初予算でありますが、一般会計の対前年度伸び率は三・五%増、また全会計合計での特殊要因を除いた実質の対前年度伸び率は三・〇%増と一定の伸びが確保されております。  景気の回復のおくれは本市の財政にも相当の影響を与えており、新年度予算の編成に当たっては非常な御苦労があったのではないかと拝察をさせていただくわけでありますが、しかしそういう中にあって、市長も提案理由の中でも述べられておりますように、そして私もまた、いかに財政状況が厳しくとも、都市の発展と住民福祉の向上のためには、なすべき施策は積極的に推進していかなければならないと考えているのであります。  また、折しも四月一日には中核市熊本が誕生するわけでありますが、私は、市民にとって市政がより身近かなものになるものと期待いたすと同時に、これを契機として、本市が新たな飛躍を遂げるための第一歩にしなければならないと考える次第であります。私は、市長の「本市が名実ともに中核市にふさわしい都市となり、すべての市民が幸せであると感じられるまちとなるよう全力を傾注する。」という御決意をまことに心強く感ずる次第であります。  早いもので、一昨年の十二月に三角市政が誕生して以来、丸一年が経過をいたしました。熊本市を一隻の船に例えて申しますならば、平成八年度はまさに三角丸が静かなる内海から荒波の大海原に打って出る重要な年になると私は思います。  財政環境等、波もこれまでになく高く、かじ取りの難しい航海が予想されますが、我々議員を初め市民ともども乗客としてただ単に乗り込むのではなく、船員となってともに力を合わせ、これからの難局を乗り越えていかなければならないと考えている次第でございます。  そこでお尋ねをいたしたいのでありますが、このような嵐の中、どのような方向にかじ取りをなさるのか、すなわち、この新年度予算の特色と申しますか、三角カラーというのはどのようなものであるのか、ぜひ三角市長にお答えをいただきたいと思います。  また、このように財政環境の厳しい中、本市の平成八年度の財政見通しをどのように認識し、どのように対処していかれるお考えなのか、総務局長にお尋ねをいたします。  さらにもう一点、中長期的な財政運営の見通しについてお尋ねをいたしたいのであります。  先ほども述べましたとおり、今後、国、地方ともども高齢者福祉費等社会保障費や膨大な借金の返済に要する公債費の増嵩等、義務的経費の伸びが基幹財源である税収等の一般財源を恒常的に上回ることも考えられる状況にあり、本市の中長期的な財政の見通しがどうなのか心配をいたしているのであります。  財政の健全性を示す一つのバロメーターとして公債費比率を取り上げてみますと、本市の場合、平成六年度決算では一七・七%と、類似の都市と比較いたしましてもかなり高い数値を示しております。公債費比率は、御承知のとおり、一五%を超えますと黄色信号、二〇%を超えますと赤信号と言われております。したがって本市の場合、既に黄色信号を突破いたしており、先日の新聞報道によりますと、今後、赤信号である二〇%ラインを超えることも予想されているとのことでございました。  最近では、この公債費から地方交付税で補てんされる分を除いて計算をした起債制限比率という指標がございまして、これがより実質的な財政指標として用いられているようでありますが、これも平成六年度の決算では一三・九%と、公債費比率同様に類似都市比較において高い数値を示しているのであります。この起債制限比率が二〇%を超えますと起債の許可制限があり、事業の進捗に支障を来すおそれもございます。  本市が魅力と活力あふれるまちとなり、すべての市民の方々が、熊本に住んでよかった、幸せであると感じられるようなまちをつくり上げていくためには、申し上げるまでもなく、計画的な事業の展開と、これを支える将来にわたる財源の安定的な確保がぜひ必要であります。このような意味において、今日、そして今後の財政運営は一層大事になってくるのであります。  そこで総務局長にお尋ねでございますが、これからの公債費比率並びに起債制限比率がどのように推移するのか、もちろん税収の動向や事業費の財源となる起債の発行額によって変化をいたしますから、予測しがたい面が多々あるとは存じますが、今後の中長期的な財政運営とあわせて御答弁をいただきたいと思います。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) 平成八年度予算の考え方あるいは特色を述べろというふうな御質問でございました。  昭和五十年、若干三十五歳で市議会に出馬をされました嶋田議員が、街頭で演説をされます姿を思い起こしながら今の質問を聞かせていただいておりました。当時、私どもと年を同じゅうする若い青年が市議会に出馬をされ、あのさわやかな弁舌に大変あこがれを感じたものでございますが、その嶋田議員と、この神聖なる本会議場において論議を交わすということで、大変な運命と感動を覚えておるところでございます。  それでは、お答えをさせていただきたいと存じます。  一昨年の十二月に市政をお預かりし、はや一年三カ月を経過いたしたところでありますが、私はこの一年間を、市政を静かに見きわめ、外から見た熊本市と、市長として現実にとらえた熊本市の姿を対比しつつ、今後のあり方について政策の方向性をさらに慎重に吟味し、成熟させていただくための一年間であったと受けとめております。新年度は、いよいよ静から動に移る、すなわち私なりの考え方を実行に移していく年であるととらえており、その考えを具体的な施策として盛り込んだ予算をお願いしているところであります。  現在の我が国の経済情勢でありますが、嶋田議員が質問の中でもお触れになりましたように、低迷の続いていた景気にもようやく緩やかながら回復の兆しがあらわれているようであります。しかしながら懸念材料も少なくなく、脆弱さを多分に含んだものであり、今後とも予断を許さない状況にあると私も認識をいたしております。また、これまでの長期にわたる景気の低迷は国、地方の財政に深刻な影響を与えており、本市においても同様に、議員御指摘の財政指標にもあらわれておりますように厳しい財政状況下にあります。  このような中、本市は四月一日、中核市としての新たな第一歩を踏み出すことになります。提案理由の中でも申し上げましたように、私はこの一歩を、本市が中核市にふさわしい魅力と活力あふれるまちをつくり上げていくための新たな第一歩にしなければならないと考えているところであります。また、このためにも人情味あふれる心豊かなまちづくりを進め、本市が、人間的な温かみがあり、すべての市民が幸せであると感じられるまちとなるよう全力で取り組んでまいる所存であります。したがいまして、財政的な隘路はありますものの、限られた財源を有効に活用、なすべき施策については積極的に推進するという強い決意のもとに新年度予算を編成いたしたところであります。  その特色と申しますか、基本的な考えでありますが、ただいま申し上げましたすべての市民が幸せであると感じられるまち、このようなまちをつくり上げていくことを基本理念に置き、この実現のために次の四点を柱に施策の展開を図ることといたしております。  その第一は、健康を実感できる「安全で健やかなまちづくり」であります。  この分野においては、特に防災面の充実を図ることとし、防災対策の核となる総合防災公園の基礎調査を初め、総合防災計画の見直しの一環としての耐震対策基礎調査、昨年度に引き続く消防指令管制システム整備など、保健衛生、環境保全対策も含め、市民の皆様に安心して暮らしていただけるまちを目指し諸政策に取り組むことといたしております。  その第二は、豊かな人間関係を保つ「心のかようまちづくり」であります。  この分野では、特に地域づくりや福祉政策の一層の充実を図ることとし、地域に根差した活動の活性化、心身障害児総合通園センター基本計画策定、二十四時間巡回介護型ホームヘルプサービスなど、新たな施策の展開を図ることといたしております。  その第三は、仕事や活動を通して「生きがいを感じるまちづくり」であります。  この分野では、都市基盤の整備が産業の活性化と、ひいては新たな雇用の創出につながるとの考えのもとに、これまでの道路、公園等の社会基盤の整備はもとよりでありますが、手取本町地区市街地再開発、上通A地区推進計画策定、熊本駅周辺再整備等、拠点開発に特に力を注ぐことといたしております。  その第四は、美しいものに感動できる「豊かな感性を育むまちづくり」であります。  本市の持つ豊かな緑と清冽な地下水などの恵まれた自然環境と、熊本城を初めとする歴史、文化は、何物にもかえがたい他に類を見ない本市の大切な個性でもあります。これらの貴重な財産を守りはぐくむことは我々に与えられた使命でもありますが、このためにも市民文化の振興により豊かな感性をはぐくむことが大事であると考える次第であります。  このようなことから、新年度におきましては、’96くまもと漱石博、県民文化祭を初め、第一回お城まつりの開催や、世界蝶類展の開催等による一層の市民文化の振興を図ることといたしております。  以上、私が新年度の予算の編成に当たりまして特に留意いたした項目について申し上げましたが、いずれにいたしましても、容易にこのようなまちがつくり上げられるとは考えておりません。しかしながら、議員が先ほども述べられましたけれども、議員初め市民ともども乗客として単に乗り込むだけでなく、船員となってともに力を合わせてこの難局を乗り越えなければならないというお考えを示されました。実に名言でありまして、大変心強く感じておるところでございます。  議員各位はもとより、市民の皆様と我々行政が一体となって取り組んでいかなければこの目標は十分に実現できないものと確信をいたしておりますので、議員各位のさらなる御理解、御支援をお願い申し上げる次第であります。        〔総務局長 野田晃之君 登壇〕 ◎総務局長(野田晃之君) 三点の財政に関するお尋ねについてお答えを申し上げたいと存じます。  厳しい財政環境下におきます新年度の財源見通し、並びに公債費比率起債制限比率の今後の推移、関連いたしまして中長期的な財政運営についてのお尋ねでございます。  まず一点目の平成八年度の財源見通しについてお答えをいたしたいと存じます。  新聞報道等によりますと、我が国の景気の状況は、情報関連産業等の製造業を初めとする企業業績の回復が見られ、緩やかながら回復傾向にあると言われておりますが、これは主に大企業を中心としたもので、加えまして中央と地方にタイムラグがあること、またこの回復傾向そのものが不安定なものでありますことなどを考え合わせますと、本市の財政環境は平成八年度、特に楽観を許さない厳しい状況にあると認識いたしているところでございます。  このような状況を踏まえ、本市の新年度の財源見通しでございますが、現時点におきましては、歳入歳出両面におきまして不確定な要素が多々ございまして、極めて大まかな試算となりますが、まず歳入面では、その根幹をなします市税が伸び率で四ないし五%程度になるのではないかと見込んでおります。なお、平成六年度、七年度に引き続き八年度も減税措置が実施されます個人市民税の影響分につきましては、これまで同様減税補填債による補てん措置がなされる見通しでございます。  また地方交付税でございますが、国の出口ベースの伸びが四・三%ということでございまして、通常の分を国の出口ベース並みの伸びで見込ませていただき、これに加えまして中核市移行に伴います一般財源増分について交付税での補てんがなされるものと見込ませていただいているところでございます。  このほか、厳しい財政状況下で公共事業の一定水準を確保させていただくために、今議会に財政調整基金の二十億円の活用をお願いいたしているところでございますが、これを含めましたその他の一般財源を含めまして、決算見込みでの一般財源総額は一千四百億円程度になろうと見込んでいるところでございます。  一方、歳出面でございますが、極力経費の節減に努めながら、各事業に特定財源を確保することといたしました結果、今回の当初予算における所要一般財源に従来の補正ベースの所要一般財源を加味して試算いたしますと、所要一般財源総額は歳入と同じく一千四百億円程度になるものと見込んでおりまして、この結果、何とか収支の均衡は保てるものと考えている次第でございます。  次に、二点目の公債費比率並びに起債制限比率の今後の推移についてお答えを申し上げたいと思います。  御承知のように、これまで本市は、社会資本の整備が都市の産業の活性化と、ひいては将来の財政力の強化につながるというような視点から、起債を活用した積極的な事業の展開を図らせていただいたところでございます。特に近年は、長期にわたる景気の低迷のもと、国の政策的な要請もございまして、公共事業の積極的な推進を行ってまいりました。この結果といたしまして、公債費比率起債制限比率といった財政指標が他の類似団体と比較して高目に推移いたしておりますのは議員がただいま御指摘になったとおりでございます。  お尋ねの今後の両指標の推移でございますが、まず公債費比率について申し上げますと、この指標は当該年度の起債の元利償還額に要する一般財源を分子といたしまして、標準的な市税収入額に普通交付税や地方譲与税等を加えた、いわゆる標準財政規模で除したものでございますので、今後の事業展開による起債発行額や景気の動向によります税収の伸びに大きく左右されるものでございます。こういう意味で、その予測は非常に難しいところでございますが、これまでの発行済みの起債の償還等を考慮し、今後の起債発行額や税収等を一定の条件のもとで機械的に試算をいたしますと、そのピークは平成十二年ごろになるのではないかと考えております。  なお昨年、熊本市開発公社の債務の整理に当たりまして約百九十一億円の起債の発行をお願いいたしたところでありますが、この償還が平成八年度から始まることもございまして、現時点よりかなり高目の水準になると考えているところでございます。  また起債制限比率でございますが、この元利償還一般財源から、さらに地域総合整備事業債等、償還時に交付税に算入される公債費を控除し計算したものの三カ年間の平均値でございますが、ただいま議員が御質問の中でも申されましたように、この指標が二〇%を超えますと起債の発行に一部制限が加えられるということになり、計画的な事業の展開に支障を来すということになってまいります。  このようなことから、開発公社の整理に当たりましても、国、県との協議の中で、この点に最も留意をいたしまして協議を続けたわけでございますが、現時点で試算いたしましても、少なくとも起債制限比率につきましてはピーク時であっても二〇%を超えることはないと、このように考えているところでございます。  次に、ただいまの問題に関連いたしましての中長期的な財政運営の問題でございますが、議員御指摘のとおり、国、地方を通じまして高齢化、少子化社会の一段の進展に伴います高齢者福祉費などの社会保障費の増大に加え、累増体質にございます公債の償還費の増嵩は将来の財政に大きな負担になると予測されております。本市の場合も同様に、措置費、医療費といった扶助費や公債費等義務的経費の増嵩により、今後の中長期的財政運営はまことに厳しいものになると考えているところでございます。  このような中で、本市が二十一世紀に向け大きく飛躍し、すべての市民が幸せであると感じられるような都市という市長の決意を実現していくためには、計画的な事業の展開と、これを支える財源の将来にわたります安定的確保が私ども財政に課せられた課題であると受けとめているところでございます。  したがいまして、今後の財政運営に当たりましては、都市経営的な視点に立ちまして、歳入面におきます税の収納率の向上など自主財源の確保、涵養はもとよりでございますが、歳出面における事務事業の節減合理化、さらに時代変化を見きわめました事業のスクラップ・アンド・ビルド、こういうものに従来以上に留意いたしまして、さらなる効率的な財政運営に心がけてまいりたいと、このように考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。        〔四十三番 嶋田幾雄君 登壇〕 ◆四十三番(嶋田幾雄君) 御答弁ありがとうございました。行革、行政のスリム化等につきましては後段で予定をいたしておりますので、その点で触れさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、今後ピークは平成十二年ということはあと五年であります。そこに大きな財政上の厳しさ、ピークの年を迎えるというお話でございますが、これからのかじ取りをしっかりやっていただきますようによろしくお願い申し上げまして、教育問題に入りたいと思います。  今日の学校教育の場におけるいじめや登校拒否、あるいは過度の受験競争から発生しているさまざまな問題を見ますとき、教育は大変な混迷の時期にあるようであります。我が国にとりましては、教育は国の礎であり、人材こそが資源であります。教育が大きな岐路にある今、私たちは真剣に教育を語らなければならないと思います。  振り返ってみますと、昭和二十二年、戦後の混乱の中で新憲法の理論に基づき制定されました教育基本法と学校教育法を柱とした教育体系のもとで、我が国の教育はこれまで均質で高い水準の教育を国民の間に広範に普及させるとともに、豊富な人材を産業界に供給し、今日の経済大国と言われる豊かな社会の実現に寄与してきたのであります。  しかし、戦後五十年を経過した今日、社会は国際化、高度情報化、少子化、高齢化、科学技術の発展、さらには女性の社会進出など広範かつ急激な社会変化が進む中、盤石と思われていた教育制度も徐々に疲労の色を濃くし、小さな亀裂がいつしか大きなすき間となって目に見えるようになってきたのであります。  このような中で、社会の変化に対応した教育のあり方が求められているのでありますが、依然としてこれまで築き上げられた学歴社会への信仰は根強く、幼稚園児や小学生までが偏差値重視の競争社会に組み込まれ、このプレッシャーは子供たちから豊かな個性や創造性の芽を一つ一つ摘み取っているのであり、あたかも教育は変化を拒んでいるような現実が横たわっているのであります。  今日に至ってさまざまな問題が一気に噴き出し、学校で事件が発生するたびに社会問題となり、教育制度の改革や教育内容の転換の必要性が叫ばれているのであります。東西の冷戦構造の終えんとともに、国際社会は今協調、共存の時代に入り、経済大国日本の果たすべき役割はますます大きくなってまいりました。  これまでのように、経済協力だけでは国際社会で尊敬に値する国となることはできません。尊敬に値する国となるために必要なものは何でありましょうか。それは経済力でも軍事力でもありません。そうではなく、尊敬を得るためには相手の立場を理解し、みずからを主張し、環境や教育問題で国際社会に貢献できる人材がどれだけいるか、そして、固有の伝統的文化を守りながら、新しい文化を創造し、世界に向けて発信できる人材がどれだけいるかということではないでしょうか。そのような人材を育てるのがこれからの我が国の教育の使命であり、私たちは教育という大事な事業に決して汗や経費を惜しんではならないと思うのであります。  一昔前は、教育は師弟愛と教科書があれば事足りたという時代もあったでしょうが、今日の科学技術の発展や国際化、高度情報化社会の中でそれらに適応できる人材を育成するためには、さまざまな実験器具、コンピューター機器などの物的基盤の整備や、生きた外国語を学ぶための人的体制の充実などが必要であります。  また特に、教育が最も重要な時期にある今、人づくりの根幹をなす学校教育、生涯教育、あるいは青少年教育などのソフト面でも十分に予算を確保し、きめ細かい対策を講じていくことが重要であります。  豊かな市民生活には道路や橋や公園をつくることも必要でありますが、人をつくることは最も大切なことであります。また、教育の効果は即効薬として期待するものではなく、樹木を育てるような長いスパンで考えなければならない、いわゆる百年の大計であります。  このような観点に立つとき、私は、たとえ経済不況や財政危機にあろうとも、近視眼的な教育費の予算削減などはあってはならないと考える次第であります。教育県熊本という言葉がノスタルジーをもって語られるようになってしまった感がある中で、私たちは再び教育の原点に立ち返り、全国の範となるような具体的な一歩を踏み出す教育施策の発展を図っていく必要があると考えます。  そこで、このような教育観や今後の教育のあり方について、教育委員長さんのお考えをぜひお聞かせをいただきたいと思うわけであります。  次に、いじめの問題と青少年の健全育成についてお尋ねをいたします。  昨年暮れから今年初めにかけて、いじめを原因として中学生がみずからとうとい命を絶つ痛ましい事件が三件連続して発生いたしました。最近の傾向として、いじめは悪質化、功妙化、長期化しているということですが、何とも言いようのない虚しさを覚えます。  いじめの動機を見ますと、力が弱い、無抵抗、いい子ぶる、生意気、仲間から離れようとするなど、実に単純と思える動機であることが報告されております。このことを考えますと、我が国においては、学校も家庭も地域社会も、全く教育力を失ってしまったのかと錯覚をいたすのであります。  人は成長の過程で教育を受け、それによって本能から解放され、理性を培い、生きる知恵を学びます。教育によって人間らしさを、やさしさを、あるいは調和や共存の方法を学ぶのであります。ところが、このようないじめが学校という教育の現場で発生している現実に、言いあらわす言葉を失ってしまうのであります。  本市では最悪の事態発生の報告は聞いておりませんが、いじめが現実にあっているという調査結果を聞きますと、いついじめによる自殺が起こっても不思議はないという感じを持たざるを得ないのであります。  また全国的にも、これらのいじめに加え、高校生、中学生による強盗、殺人、恐喝などが連鎖反応的に発生し報道されており、目を覆い耳をふさぎたくなるような事件も多発いたしております。  一方、青少年の手本となるべき大人社会においても、人の悩みや苦しみを慰め、いやす立場の宗教家が非情きわまる無差別殺人に走ったオウム真理教事件、病人の苦しみを和らげ健康回復に尽力する立場にある医師や製薬関係者が企業利益追求のみを考えたエイズ薬禍事件など、短絡的、利己的な思考に基づく事件が続発しております。  またテレビでは、暴力や性描写を売り物にしたドラマや、弱い者をいじめ、それを笑いの対象とするようなバラエティー番組がはんらんをしており、社会の退廃をまざまざと見せつけられる思いがいたしております。  いじめの構図は、このような大人社会のゆがんだ一面を反映したものにほかならないと思うのであります。そしていじめだけでなく、少年非行や中途退学、登校拒否は、我が国の将来を担う子供たちの健全育成を忘れ、また豊かな物質文明に見合うだけの精神文化の構築を先送りしてきた大人社会への子供たちの挑戦とも見ることができるのであります。  しかし、とうとい命が連鎖反応的に失われ、また未来ある青少年が犯罪に手を染めているとき、責任問題を云々している場合ではありません。青少年問題を扱う総務庁、いじめ等の解決に取り組む文部省、その意向を受けた県教育委員会等がそれぞれにさまざまな対策を打ち出してはおりますものの、実際に対応するのは家庭、地域社会、学校、そして地方の教育委員会と公共団体であります。これらが十分に連携を図り、より具体的な、しかも思い切った対応をしていかなければ解決の糸口は見つからないと考えます。  教育委員会としては、いじめ問題と不登校問題に対する対応策、及び青少年の健全育成に関する対応策についてどのように考えておられるのか、教育長にお尋ねをいたしたいと存じます。  引き続き、学校週五日制と、学校、家庭、地域社会の連携などに関連してお尋ねをいたします。  学校週五日制は、平成四年九月から月一回、平成七年四月からは月二回の土曜日が休みとして実施されております。この制度は子供たちにゆとりを与え、家庭で親子の触れ合う機会をつくり、地域社会で活動することにより社会性と自主性を培うという目的で実施され、制度の導入当時は教育関係者や市民の間でさまざまな論議がなされたものでありました。  この制度の導入によって、家庭や地域が教育に目を向け、社会が変わるといった期待もされたのですが、あえなく空振りに終わったような気もいたします。といいますのも、この制度の実施は一面ではかなり無理があったように思われるからであります。  例えば、学校教育指導要領に示された授業時間数が改定されないまま実施されたことにより、一日六時間授業が週四日から五日もあるカリキュラムが組まれ、また楽しいはずの行事も削られ、実際のところ子供たちは疲れ切って帰ってまいりますし、ストレスもかなりたまっているようであります。  もう一点は、家庭や地域社会において、触れ合い、学習する場としての教育プログラムが用意されていないということであります。  例えば、欧米ではスポーツクラブやボーイスカウト、ガールスカウトなどの組織が充実し、さまざまなプログラムが用意されております。特にドイツの例を見てみますと、学校は午前中で終わり、午後からは国の援助で組織された青少年団が青少年教育の核となり、大半の子供たちは青少年団のスポーツクラブや文化クラブの活動に参加をいたしております。この活動に参加することで子供たちは社会性を身につけているのであります。  しかし我が国では、学校管理下における部活動は盛んでありますが、部活動に参加していない子供たちもたくさんおり、子供たちの学校外活動のプログラムがほとんどありません。このような現状では、学校五日制の目的の達成は難しいのではないかと思いますし、家庭や地域の教育力の回復を望むことはできません。  このような中、国の中央教育審議会においては、学校週五日制の完全実施と授業内容の縮減という考え方とともに、学校のスリム化や父親の責任の自覚、そして学校、家庭、地域の連携などが今後の方向として提案されていると伺っております。また、この中の具体的提案として、自然や社会に触れる学習機会を提供することを目的とした地域教育活性化センターをつくり、子供たちとPTAや青少年団体などが一緒になって触れ合い研さんする場とすることが構想されております。  いずれにいたしましても、将来の学校週五日制の本格実施に対応できるように、今から地域社会が行う教育プログラムを検討しておく必要があるのではないでしょうか。学校を核として、校区に住んでおられる青少年指導者、教師や有識者、ボランティア指導者、公務員や会社員など幅広い職業の方々、幅広い年代層の方々のボランティアとしての参加のもとに、学校とともに地域の教育のあり方を検討する機関、地域教育推進委員会のような組織を設置してはいかがでしょうか。  そのような委員会において、本来地域がなすべき教育とは何かを検討し、学校のスリム化のための子供たちの学校外活動のあり方、保護者の義務と責任の自覚、学校、家庭、そして地域の連携のあり方など地域に根差した特色ある教育を計画し実施していくことにより、まちづくりにも寄与することができるのではないかと考えるのであります。保護者や地域社会が学校に積極的に入っていく時代が来ているのではないでしょうか。  文部省がつくり固めた枠から出ることのない教育は、画一的で顔のない教育であります。日本人には顔がないと言われるのもこのような教育の影響なのかもしれません。いずれにいたしましても、地域の方々が地域の教育のあり方を考え、地域の顔があらわれる教育を行う時代が来ているのではないでしょうか。  欧米には学校は地域がつくり上げるものという考え方もあるようでありますし、ぜひ本市も地域教育推進委員会の設置について御検討されてみてはいかがでしょうか。御見解をお尋ねするものであります。        〔教育委員長 大橋綾子君 登壇〕 ◎教育委員長(大橋綾子君) 嶋田議員にお答えを申し上げます。ただいまは議員の教育に対する卓越した御見解を承りまして、まずもって深い敬意を表しますとともに、大変心強さを感じたところでございます。  議員御指摘のように、今日、我が国は戦後五十年を経過いたしました。二十一世紀を展望した教育のあり方が強く問われておりますとともに、いじめや不登校などさまざまな教育上の課題に直面いたしております。このような課題を解決いたしますために、これまで本市ではさまざまな施策を積極的に講じまして、鋭意努力をいたしてまいったところでございます。  その理念といたしましては、教育の中立性、継続性、創造性を確立し、時代の進展に対応し得る教育の改革や改善方策を強力に推進していくことでございます。この基本方針に基づきまして、今後も子供たちが心豊かにたくましく育ちますように、学校、家庭、地域社会が一体となった教育の充実や環境づくりに努力いたしますとともに、生涯学習体制づくりに積極的に取り組んでまいります。  これは、我が国が創造的で活力のある社会を発展させながら、国際社会の一員として、世界の平和と繁栄に寄与するためにぜひとも推進していかなければならない重要な教育課題でございます。本来、教育は、我が国の社会、経済、文化などあらゆる分野の活動を支える基盤となっているものでございまして、それだけに市民の皆様の御理解と御協力のもとに進めなければその成果は到底期待できないのでございます。  したがいまして、本市教育委員会におきましては、現在総力を挙げて取り組んでおります教育の基本方針や、それに基づく重要施策を審議する教育委員会の会議を県内で初めて公開に踏み切ったところでございます。これは閉ざされた教育委員会から開かれた教育委員会に、それから開かれた学校づくりを目指しているものでございます。  これを契機に教育を市民の皆様の身近なものにし、相携えていくものにしたいと考えているところでございます。そして、従来の学校観、教育観の転換を図りまして、学校は生涯学習の拠点として、その機能、施設の活用を最大限に発揮できるよう図ってまいりたいと考えております。
     本市教育委員会は、新しい教育都市熊本を実現すべく、熊本市ならではの独自の構想を持って、教育の本質に根差し、時代に先んじた施策を今後も総合的に活発に展開してまいる所存でございますので、皆様の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げる次第でございます。        〔教育長 後藤勝介君 登壇〕 ◎教育長(後藤勝介君) 私の方から二点お答えをさせていただきたいと思います。ただいま基本的な考え方につきましては委員長の方からお答えがございました。いじめや不登校の問題、青少年の健全育成に関する問題、それと地域教育推進委員会の設置等についてお答えを申し上げます。  いじめや不登校の問題につきましては私どもも大変厳しく受けとめております。そういう中で本市におきましても、今日まで、教育センターにおきましていじめ電話相談やヤングテレホンくまもとを設置しますとともに、大学生によりますメンタルフレンド相談などを行ってまいりました。さらに、一昨年から中学校におきまして心豊かな学校生活確立推進事業に取り組んでおります。この事業を通して、学校の活性化はもとより、家庭や地域の連携によるいじめや不登校の問題に対応しております。先ごろ行いましたこの事業の実践発表において、ボランティア活動や地域での環境緑化活動を通してかなりの成果を上げているとの報告がなされております。  来年度は、以上申し上げました事業のほかに、いじめ電話相談の時間延長及びフリーダイヤル化、また本市独自のスクールカウンセラーの配置と心豊かな学校生活確立推進事業の全小学校への拡大等に取り組むこととし、平成八年度の当初予算に事業費の計上をお願いしているところでございます。  このような取り組みのほかに、教職員の資質の向上を図りますために、全職員を対象とした教育講演会や合宿研修会等を毎年実施しておりますが、このような研修に加えまして、今後は教職員の企業研修等につきましても検討する時期に来ているのではないかと考えております。  また青少年の健全育成につきましては、現在青少年健全育成協議会を中心として校区独自の青少年健全育成に取り組んでいただいているところでございますが、平成七年度から新たな取り組みとしまして中学校区さわやか推進事業を開始いたしております。関係者の大変な御努力により三十七全中学校においてさわやかスポーツ・レクリエーション大会、さわやか広場づくり、青少年主張大会、音楽発表会などさまざまな事業が実施され、地域と学校とが一体となった健全育成活動に大きな成果が上がっております。  以上、本市が既に取り組んでおります事業あるいは今後の取り組みについて申し上げましたが、現在起きておりますいじめや不登校問題、さらには青少年の問題は、先ほどお触れになりましたとおり、大人社会の投影であり、小手先の対応だけでは根本的な解決にはならないという視点に立ってこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、御提案がございました地域教育推進委員会の設置についてお答えを申し上げます。  大変貴重な御提案をいただきましてありがとうございました。教育の問題を考えますときに、先ほどお触れになりましたとおり、校区に居住されるさまざまな年齢、職業の方々に定期的に集まっていただき、いろいろな視点から地域の教育や文化も含めた問題について意見を出していただきながら、家庭や地域のそれぞれの責任と義務を明確にし、地域が学校を支えている状態が実現できますならば、それは同時に教育を市民の身近なものとしますとともに、開かれた学校づくりにつながっていくことになると思います。今後、御提案の地域教育推進委員会につきまして、十分勉強させていただきまして検討してまいりたいと思います。        〔四十三番 嶋田幾雄君 登壇〕 ◆四十三番(嶋田幾雄君) 今、教育は大変難しい時期にあります。教育関係者の皆さんの御尽力もよくわかります。私たちは、家庭人として、また地域社会に住む者として、教育は学校が行うものという考えを正し、学校とともにそれぞれの責任を自覚して、将来ある子供たちの幸せのために努力をしていかなければならないと思います。  また学校におかれては、先生方は多忙で、責任も重く、保護者からの要求もさまざまでありますが、先生は子供たちに身近であり、子供たちは先生に信頼を寄せているのであります。「教えるとは、共に希望を語ること、学ぶとは、胸に真理を刻むこと」という有名な言葉がございます。多忙な中にも、子供たちとともに希望を語る時間と心のゆとりを先生方に持っていただきたいと思います。  新年度予算にスクールカウンセラーについて計上されておりますが、私も先日、東京都におけるスクールカウンセラーの成果をテレビで拝見いたしました。本市で早速この制度を導入され、三名の方々が新予算のもとに配置、活動を開始されますことはまことに喜ばしい限りであります。しかし現実論として、今小中学校の現場から教育委員会に報告をされている、いじめを初めとする学校内外の出来事は氷山の一角でしかないことを厳しく指摘をしておきたいと思います。  幾らよい制度ができても、ひた隠しにする学校現場の現体質は絶対に改善をしていただきたい。小さいうちからこれらの芽を摘み、今後的確な、総合的な対応策が展開されてこそ、初めて問題の解決、子供中心の教育の本質が維持されるのではありませんか。  その意味からも、スクールカウンセラー三名とは余りにも少な過ぎます。ぜひ補正予算の掌中に入れていただき、迅速かつ的確に対応いただきますよう強く要望いたしまして、都市づくりについてのお尋ねに入りたいと思います。  本市の都市づくりの現状を俯瞰してみますと、本市に初めて海運の門戸を開く熊本港の建設が着々と進むとともに、九州新幹線の導入や、これと一体となったJR鹿児島本線の高架化、さらには地域高規格道路の整備など、将来の本市全体の都市構造にも大きな影響を与えるような広域高速交通網の整備が動き出そうといたしております。  またこれらと並行して、熊本駅周辺一帯の市街地開発や中心市街地における再開発などが本格的な始動のときを迎えるとともに、広大な熊本港背後地についても、熊本FAZや国体プール整備等を契機にこれから大きく変貌を遂げていくことが予想されるのであります。これらは、いずれも五十年後、百年後の本市の姿の基盤をつくると言っても過言ではない、まさにビックプロジェクトであります。  このような華々しいプロジェクトがメジロ押しであることは、都市の活力を象徴するものとしてまことに心強く感ずる一方で、私は払拭しがたい一抹の不安を覚えるのも事実であります。と申しますのは、これらのプロジェクトは、おのおのの事業計画に基づいて着実に実現されていくであろうとは思いますものの、その一つ一つがまさに未来の熊本を方向づけるような性格を有するものであるにもかかわらず、それぞれの課題ごとに担当セクションが個別に対応しているのが現状ではないかと危惧するからでございます。  私は、このような都市づくりに当たっては、将来の熊本をこういう姿にするといった、長期的、総合的な視野に立った確固たるビジョンと、その実現に向けた戦略が不可欠であると考えます。それは、すなわち九州の中心という地理的優位性をどう生かすのか、また国際化や高度情報化の進展の中にあって、都市としての特色をどのように打ち出すのかといった都市戦略や、全体的な都市構造の中で、ここにはどういった機能を持たせ、どのような施設を配置するべきかという都市機能分担について明確なビジョンを持っておくこと。また、歴史的遺産や豊かな水や緑などの自然景観の維持形成など、都市の個性や魅力をどのようにつくり上げていくかといった都市のアイデンティティー確立についてもはっきりとした一つのイメージを持っておくことであります。私は、こういったビジョンやイメージをそれぞれの事業に確実に反映させるとともに、個々のプロジェクトが熊本のあるべき姿を実現するための、いわば細胞の一つ一つであるという認識のもとに、各事業を推進していくことが最も重要と考える次第であります。  ここで横浜市の事例を紹介いたしたいと存じます。  現在、横浜市の都心臨海部においてみなとみらいと銘打った総合的な都市整備計画が進められていることは御周知のとおりでございます。既に御存じの方もあるかもしれませんが、この計画は今から三十年前、当時の飛鳥田市長時代に六大事業の一つとして発表されたものであります。この六大事業は、横浜市が主体性をもって国、公団、民間企業等を動かし、極力市の一般財源を当てにしない形で市の基幹となる事業を行うプロジェクトであります。この計画に従ってみなとみらいが推進され、また今や観光名所にもなっている横浜ベイブリッジや、地下鉄、一部地下を通る高速道路、ニュータウンの建設、あるいは金沢埋め立てなどが完成をいたしたのであります。  私は、この横浜市の例を見ますときに、都市づくりは非常にスパンの長い仕事であることを実感すると同時に、計画時点での長期的、総合的視野の必要性と、都市づくりの根底に流れる一貫したコンセプトの重要性を改めて認識した次第であります。  特にここで注目に値いたしますのは、当時この六大事業を提案した張本人であった民間コンサルタントのプランナー、すなわち現在の法政大学教授の田村明氏を横浜市の企画調整部長として迎えたことであります。  田村教授は、昭和四十三年から昭和五十六年までの十三年間にわたって企画調整部長、後に企画調整局長として六大事業の推進はもとより、都市景観の整備も全国に先駆けて推進をされ、いわば横浜市の都市づくりの総合プロデューサー兼コーディネーター役を務められたのであります。  田村教授の言葉をかりれば、「都市づくりとは、市のみならず、国、県、民間など、多くの主体が協調して行うものであり、市は、そのプロデューサー、コーディネーターとして働かなくてはならない。」のであります。市がみずから行う事業は都市づくりの一部にすぎないのであって、もしも総合的視点や都市の未来についてのビジョンを持たず、それぞれの事業主体に任せてしまったとしたら、その都市にとっては非常に憂慮すべき事態に陥ることは明らかであります。都市全体の立場に立ち、将来を考慮しながら上手に全体のバランスをとって誘導していくのは、まさに市の役割というわけであります。  このように、都市づくりにおいては、本市が主体性を持って重要な役割を果たしていかなければならないことを考えますときに、私は、大規模プロジェクトがメジロ押しである本市の今後の都市づくりに当たって、本市当局にも総合的なプロデューサー的人材を迎えることが必要ではないかと考えるのでありますが、いかがでございましょうか。  また田村教授も述べておられますが、対外的に新しい都市づくりをしていると知れてから、これまで自治体を志望しなかった人材まで集まるようになったそうであります。人が人を呼び、それが仕事によってさらに育っていく。そしてまた、その部署で育った人が他の部局へと異動することによってさらに活性化する。このように外部からの人事登用は、人材の育成、確保、職員あるいは組織の資質向上にも寄与をするのであります。  そこでお尋ねです。都市づくりにおける総合プロデューサー的人材を外部から登用することにつきまして、人事交流に日ごろから積極的な発言をなさっている三角市長のお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。  都市づくりの二点目として、具体的に交通問題についてお尋ねをいたします。  一昨年来、建設省、県、本市の担当者や学識経験者で構成される熊本都市圏交通計画検討委員会が組織され、熊本都市圏の幹線道路計画の見直しについて検討されていると伺っておりました。新聞報道によりますと、去る一月二十九日にその提言がまとまり、地域高規格道路としての外環状道路の整備や、それに伴う東バイパス、北バイパスの一部立体化、さらには外環状道路から中心部へのアクセス道路となる都市計画道路の重点的整備などが提言されたとのことであります。  地域高規格道路による環状道路の整備や立体化などは、移動時間の短縮のみならず、域内交通と通過交通の分離による交通渋滞の緩和など大きな効果をもたらすものであると、私も非常に期待をいたしているところであります。  そこでお尋ねでありますが、外環状道路を初めとする熊本都市圏交通計画検討委員会からの提言の具体的な内容、及びそこで提案された道路の整備実現に向けたスケジュール等についてぜひお聞かせをいただきたいと思います。  さらにもう一点、パーク・アンド・ライドシステムについてお尋ねをいたします。  このパーク・アンド・ライドシステムは、電車やバスなどの公共交通機関との結節がよいところに駐車場を設け、そこで自動車から公共交通機関への乗りかえを行い、都心部に流入する自動車の交通量を抑制するものであります。既に平成七年度にシステムの導入検討調査を実施され、さらに来年度はパーク・アンド・ライドシステムの試行実施に要する経費が予算計上されているところであります。  私は、以前から、このパーク・アンド・ライドシステムを、朝夕の通勤通学の時間帯などに発生する都心部の交通渋滞の緩和に絶大な効力を発するシステムとして注目をしていたところであり、これが正常に機能すれば、慢性的な交通渋滞に悩む都市圏交通における画期的なシステムになり得るものの一つとして考えていたところであります。  そこでお尋ねをいたします。本年度実施されたシステム導入の検討結果や導入の可能性、さらには来年度予定されている試行実施の具体的内容をぜひお聞かせをいただきたいと思います。  以上二点につきまして都市局長の御答弁をよろしくお願いいたします。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) 都市づくり施策に関連しての人材の外部からの登用についてお答えを申し上げます。  昨今の世界や我が国の激変する社会情勢を眺めてみますと、社会の構造的な変化が感じられ、戦後五十年を経て、これまでの我が国の社会経済を支えてきたシステムそのものが問い直される状況になっております。  このような時代の変革の中で、地方自治体も住民ニーズを吸収できる地方分権の担い手として大きく変わらなければなりません。中核市へ移行する平成八年は、熊本市にとりましても静から動へと変わる大事な年と考えております。  現在、議員御指摘のように、本市にもさまざまな都市開発の構想がございます。二十一世紀を展望した都市づくりは特にダイナミックなものであろうかと思います。スケールの大きな都市づくりに対応していくには、政策意思の決定能力と都市政策に係る幅広い情報が不可欠であります。  そのような視点において、総合プロデューサー的人材を外部から登用してはという嶋田議員の御提案につきましては、まことに時代にふさわしいお考えと存ずる次第であります。  執行部内の優秀な職員の登用に加え、外部の都市政策に精通した若手の人材の登用、あるいは外部のブレーン等からの広範で有益な情報を豊富に取り入れていくことで、政策形成能力をさらに高めていくことができるものと思うわけであります。  その意味から、今後国、県や民間等からも広く人材を登用するのも大変重要な方法であり、各種審議会、委員会、研究会、あるいはプロジェクト、調査研究スタッフの積極的な活用等を図るのも大変重要なことであると考えます。  そして、そのように幅広く人材や英知の結集を図り、都市づくりに厚みと柔軟性を持たせることで、都市としての魅力と活力あふれる熊本市が建設されるものと確信する次第であります。        〔都市局長 本田吉継君 登壇〕 ◎都市局長(本田吉継君) 嶋田議員にお答えいたします。  熊本都市圏の交通課題への対応策を検討いたしますために、平成六年五月に設置されました熊本都市圏交通計画検討委員会は、これまで五回にわたりまして検討を重ねてまいりましたが、議員お触れになりましたとおり本年の一月二十九日に最終委員会で提言をいただいております。  お尋ねの委員会の提言内容は、一つは、熊本都市圏において現在事業中の都市計画道路を、次に申し上げます十七路線の整備に着手できますように早期に完成させること。二つは、周辺部から都心部に集中いたします交通を分散させるため、環状を形成する道路いわゆる環状道路を整備すること。そしてその環状道路を補完するために新たな都市計画道路を含めまして、計十七路線を早期に整備することを提言いたしております。  このうち環状を形成する道路といたしましては、アクセスをコントロールすることによって時速六十キロから八十キロメーターで走行できる地域高規格道路として整備すること、この環状道路延長は約三十キロメーターでありますが、これを熊本環状道路と呼ぶとしております。  この熊本環状道路の西側は、都市計画道路野口清水線、通称西回りバイパスと言っておりますが、それの外側に新たに提案されておりまして、これを仮称西側環状道路と呼んでおります。この道路につきましては、平成八年度中に地域高規格道路の調査区間に指定してもらえるよう、県におきましては予備設計、環境影響調査などを実施されることになっております。  なお、ただいま申し上げました調査区間の指定と申しますのは、地域高規格道路を整備します場合の段階でございまして、現在熊本環状道路が計画道路に指定されておりますものを、次の段階の調査区間に格上げしようとするものであります。調査区間の次が整備区間でありまして、この段階が実際の事業化であります。指定は建設省が行います。  また、その東側は現在国道三号北バイパスと国道五十七号が東側環状道路を形成しておりますが、この道路を立体化などによりまして地域高規格道路としての機能を持つ道路として早急な整備が図られるよう、現在国に御検討をいただいております。  次に、熊本環状道路以外の提案路線につきましては、今後、国、県、市で事業主体や整備手法を調整いたしまして、早期に事業化を図ってまいりたいと、このように考えております。  なお、熊本環状道路の事業促進につきましては、去る二月二十九日に、熊本都市圏域の二市八町の政界、財界、そして自治体から成ります地域高規格道路熊本環状道路建設促進期成会を設立したところでございます。  今後、この期成会を中心に熊本環状道路につきましては早期整備が図られますよう、国、そして県に建設促進運動を活発に展開してまいります。  次に、パーク・アンド・ライドシステムの導入についてお答えをいたします。  このシステムは、御案内のとおり、自動車交通から電車やバスなどの公共交通機関に交通手段を転換することによりまして、自動車交通の総量を削減し、環境の保全や交通の円滑化を図るなど、都市環境の改善に大いに役立つものであります。  しかし、このシステムが成立するためには、乗りかえ後の公共交通機関の定時性を確保できること、自家用車から公共交通機関へ乗りかえるときの面倒さや、駐車料金、そして電車、バス等の運賃等の新たな負担を軽減できること、さらには適地に駐車場が確保できること等の要件が必須であります。  このために、本市では平成七年度に道路管理者であります国、県、市、そして交通管理者であります県警察、また交通事業者の方々に御参加をいただきまして、九州東海大学の渡辺教授を座長といたしまして、熊本パーク・アンド・ライドシステム研究会を発足させたところであります。  この研究会を中心に、システム導入につきまして検討を進めているところでありますが、平成七年度は、交通渋滞の原因等を探ります道路交通実態調査や、電車、バス等の公共交通機関の運行と利用状況の調査解析、それに金沢市、宇都宮市などの先進都市の事例研究を行っております。さらに都心部への通勤者五千人を対象にアンケート調査も実施いたしております。  このアンケート調査では、今回のシステム導入のための試行に対しまして協力していただけるのかどうかという意向や、通勤圏域、経路、通勤手段などを尋ねております。特筆すべきは、対象者の実に約七五%の方々から御回答をいただいておりまして、このシステムについての市民の方々の関心の高さをあらわしております。  平成八年度は、これらの調査をもとにいたしまして、先ほど申し上げました研究会を中心に、システムの導入が考えられます地区、路線、駐車場等を検討していきますが、一方では、関係機関、交通事業者の御協力と、広く市民の御理解を呼びかけながら試行を行ってまいりたいと、このように考えております。        〔四十三番 嶋田幾雄君 登壇〕 ◆四十三番(嶋田幾雄君) 御答弁ありがとうございました。  今、市民の方々の市政への不満の一つとして、交通渋滞、交通体系づくりのおくれがありました。大きな関心事の一つとなって久しいものがございます。本市における基幹交通は一体何なのか。それは、現時点において、また近い将来への展望の中において、JR鹿児島本線や豊肥本線、さらには市電であり、熊本電鉄路線であろうと思います。これらとの結節点にそれぞれのバスを配置することであります。  その意味におきまして、今後交通問題を考える場合に、上熊本駅周辺並びに南熊本駅周辺に重要なターミナルポイントとしての機能を持たせるという理論が、公営企業委員会等を中心に今日まで種々論議がなされてきております。この理論をぜひもう一度御認識しておいていただきたい、これはお願いであります。具体的議論の各論につきましては交通対策特別委員会等において進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  次に、行政改革についてのお尋ねでありますが、イギリスの政治学者パーキンソンが、行政機構を経験的事実に基づき皮肉を込めて分析したあの有名なパーキンソンの法則の第一の定理に、「役人の数は、なすべき仕事の軽重、有無にかかわらず一定の割合で増加する。」とありますが、行政は常に肥大化の傾向があり、常にその縮小、簡素化に向けた見直し作業、いわゆる行政改革が必要であります。また、世界の歴史にも類のない我が国の高度経済成長が、バブル経済の崩壊をもって終わりを告げ、昨今景気の低迷が長期化し、今後もかつてのような経済成長は望むべくもなく、低成長時代が続くことが予想されているわけであります。  民間企業においては、このような経済情勢の変化に対応し、存亡の危機を乗り越えるため、いわゆるリストラに懸命に取り組んでおります。行政においても、低成長下で大きな税収の伸びが見込めない状況の中、財政状態の悪化が懸念されているところであり、また一方で、後ほど述べたいと思いますが、本格的な高齢化社会の到来、生活の質や環境への関心の高まりなど、複雑多様化する住民の行政ニーズに対応していくこともまた求められているのであります。  このような中で行政改革がまさに国民的課題となっており、国はもとより、都道府県、市町村に至るまで、すべての自治体で行政改革に取り組まれているのが現状であります。特に本市においては四月に中核市に移行することが決定をいたしており、事務量の増加も見込まれる中、これらの新たな行政ニーズに対応するには抜本的な行政改革が不可欠であると申せましょう。  先般、三角市長に対し行政改革推進委員会からの提言が行われましたが、本市が、限られた財源と人材で単に行政サービスのコスト削減を行うだけではなく、真に市民が求めている行政サービスを提供するため、また市民にとってわかりやすい市役所にするために、どのように行政改革に取り組まれるのか、市民の多数が大きな関心を寄せているところでもございます。  そこで、行政改革の成否はトップのリーダーシップにかかっていると言われるところでもあり、いわば三角市長の手腕に期待されるところが大きい課題でありますので、三点ほど三角市長にお尋ねをいたします。  まず第一点は、先般の行政改革委員会の提言を受けて、今後、本市の行政改革大綱を策定され、抜本的な改革に取り組まれるであろうと私なりに推測をしているところでありますが、三角市長の行政改革推進についての基本的なお考えと今後のスケジュールについてお聞かせをいただきたいと思います。  第二点でありますが、さきに申しましたように、中核市移行に伴う権限移譲、ハンドボール世界大会、国体など今後の事務量は増加の一途をたどるであろうと予測できますが、この中での行政改革でありますので、職員の資質、能力向上が当然必要かと存じます。職員の能力や資質に対して、何の手だても施さないままただやみくもにリストラ中心の行政改革を行うならば、職員一人当たりの事務量が増大し、対応できなくなってしまうことは一目瞭然であります。やはり事務量が増加してもそれに対応できるだけの職員の能力、また職員一人一人が、一人で二人分、いや三人分の仕事を行えるというやる気と自信を引き出すことが必要不可欠であります。  そこでそのための方策として、市職員を民間等の外部に一定期間派遣し、現場での実践的な仕事に触れ、厳しい社会の実情、民間のサービスに対するすぐれた精神、効率的な企業運営など見習うべきノウハウを吸収させることにより、職員個人の能力、資質の向上を図る取り組みを行われてはいかがでしょうか。  実際、本市の職員はかなりの能力を秘めておられると思いますし、外部の新鮮な空気に触れることでその秘めた能力を思う存分開花させ、本市行政のすぐれた担い手となり得ると確信をいたすところであります。  そこで、職員の能力、資質の向上を図るため、職員を民間等の外部に一定期間派遣することを積極的に検討してもらいたいと思いますが、どのようにお考えになっておられるのかお聞きしたいと思います。  第三点目は組織の見直しであります。  時代の流れとともに、本市の組織も、肥大化、硬直化、市民にわかりにくいなどの弊害が出てきていることが指摘されております。こうした中で、今回の行政改革においてはスクラップ・アンド・ビルドを基調として、効果の薄くなった部門、類似業務を行う部門の統合などにより、基本的にはスリム化を図ることを基調としながら、社会情勢の変化にも柔軟に対応できる組織づくりが求められていると考えます。  本市におかれても既に区別がわかりにくいと言われていた中小企業局と産業局の統合や、市長公室の廃止に向けた調整が進められており、三角市長におかれましても市民にわかりやすい組織づくりを進めていかれるお考えとお伺いしております。  さらに、社会情勢の変化に迅速かつ柔軟に対応できるように、例えば少子化、高齢化社会の到来を踏まえた保健、医療、福祉の連携体制の強化への取り組み、また、三角市長が積極的に取り組まれておる住民主体のまちづくりを推進していく担当部署の新設など、時代にマッチし市民ニーズに効果的に対応できるわかりやすい執行体制を築き上げていただきたいと思うわけであります。  そこで、今後簡素で効率的な執行体制を確立するため、本市の組織機構の見直しにどのようなお考えで取り組まれるのか。また、どれくらいの期間で見直しされていくのかについて、以上三点について三角市長の御答弁をお願いいたします。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) 行政改革の推進について三つの視点からのお尋ねでありますが、行政を例えて、行政は最大のサービス産業であるという言葉がよく使われます。私もこの一年間、懸命に市政運営に携わってまいりましたが、いかに厳しい環境下にあろうとも、この言葉が示すように、市政は市民の皆様に最良のサービスを提供できるよう、常に不断の努力を続けなければならないものであるという認識を改めて強く感じたところであります。  そこでまず最初にお尋ねの行政改革推進の基本的な考え方と今後のスケジュールについてでありますが、議員御指摘のように、行政は多様なサービスを提供する一方、常に肥大化の危険をはらんでおり、市民の行政ニーズに的確にこたえていくためには、やはり平素から行政システムの全般的な見直しと改革に取り組まねばならないと考えているところであります。  そこで、昨年六月行政改革を推進するための実行組織として、内部的には、私みずからを本部長とする行政改革推進本部を設ける一方、行政に対する幅広い御意見を聴取するため、有識者の皆様で構成する行政改革推進委員会を設置し、よりよい行政サービスを提供していくための基本的な考え方や方向性についてお諮りしたところであります。  この行政改革推進委員会では、市政全般についてさまざまな角度から御論議をいただき、先日、一、市民との対話の充実、二、市民、職員の意識改革、三、事務事業の総点検、四、行財政システムの簡素効率化の四項目を柱とする具体的な取り組み事例を含めた最終提言をいただいたところであります。  今後は、この委員会の提言に沿った形で、市議会の御論議を賜りながら、夏までには行政改革大綱を策定し、全庁一丸となって簡素で効率的な行政システムの構築を目指した行政改革に取り組みたいと決意をいたしております。  次に、職員の民間への一定期間の派遣についてのお尋ねでありますが、行政を取り巻く環境がますます複雑多様化する中にあっては、行政に携わる職員も、企業の経営感覚、コスト意識など民間企業のすぐれたノウハウを学ぶことは重要であり、そのことがひいては職員の資質、能力の向上につながっていくものと認識をいたしております。  そのような観点から、現在では熊本テクノポリス財団や熊本開発研究センターへの本市の職員の長期派遣を行っておりますが、今後さらに民間等への一定期間の派遣について、議員御提案の趣旨を十分踏まえ積極的に検討してまいりたいと考えております。  最後に、組織機構の見直しについてのお尋ねでありますけれども、十二月議会でもお答えいたしましたとおり、行政ニーズに迅速かつ的確にこたえ、中核市にふさわしい熊本らしいまちづくりをより強力に推進するためにも、時代に合う政策の展開とともに組織機構の見直しも必要であると感じております。  このたびの機構改革の基本的視点としては、一、時代と環境の変化への対応、二、行政改革への対応、三、市民にわかりやすい組織、四、市政の重点施策の積極的な推進、この四点について特に意を用いたところであり、具体的には先ほどお話がありましたように、市長公室を市長室に局から部に縮小いたしますとともに、関連の深い産業局と中小企業局を統合し新たに経済振興局として設置するほか、市民局を市民生活局に、また都市局を都市整備局に名称を変更する事務分掌条例の改正を今議会にお願いいたしておるところであります。  このような考え方を基軸といたしまして、管理部門については総合的かつ効率的な市政運営を図るための再編縮小の方向で、また市民生活に直接かかわる事業部門については、組織の名称も含め市民にわかりやすいかつサービス向上の面からもその充実強化や整備再編を考えるとともに、組織間の連携を強化するなど、市民サイドに立った見直しを行ってまいりたいと考えておるところであります。現在細部にわたり検討を加えている途中でございますけれども、新年度から新しい組織で市政運営に臨みたいというふうに考えております。  しかし先ほど議員からも名言を発していただきました。船に例えればというふうなお話がございましたけれども、私どもも縮小縮小と言いながら、やはり今までの役職についてデノミをするわけにはまいりませんもんですから、一人一人的確な目標を持った職を与えながら、名称は別といたしましても、専門官、企画官、そういうものをつくってまいらなければならないと、急速に役職が減るというふうなことじゃなく、これは徐々にということを考えておるところでございます。  そしてまた市民の皆さん方の市役所でございますので、先ほどの船の例えじゃございませんけれども、民間ボランティアという形の中で市政に対する応援を図っていただくならば、より以上のサービスができていきはせぬかなということも考えておりますので、議員各位からそういう点につきましてもいろいろ御指導をちょうだいいたしたいと考えておるところでございます。        〔四十三番 嶋田幾雄君 登壇〕 ◆四十三番(嶋田幾雄君) 「障害者と接する機会がありましたら、同情するよりともに歩いてください。ともに生きてください。それが本当のやさしさです。」脳性小児麻痺による両手の麻痺をワープロの仕事で克服しながら、夜は定時制高校に通う浜田みどりさんは「ふれあいの瞬間トキ」の中でこう語っておられます。  障害者の人権と社会参加の権利が保障され、障害者とともに生きる姿勢が貫かれている社会であれば、それは高齢者や子供たちにも安心して暮らせる社会であります。
     昭和五十年第二回定例会は、私が初めてこの壇上より質問をさせていただいた議会でございました。その折私は、福祉行政について、「我が国が昭和三十年代後半からの所得倍増政策を皮切りに豊かなる社会への第一歩を踏み出しましたが、反面、物質文明の弊害等が人間として忘れようとしていた人間尊重、心と心のつながりを取り戻すことの大事さを教えてくれ、物によってあらわす福祉から真の心からなる福祉への転換をしなくてはならない。単なる保護政策の時代は終わりを告げ、市民全体の連帯感の上に立った福祉政策を」と申し上げてまいりました。  以来二十年、本市福祉政策が年ごとに充実されてまいりましたことはまことに御同慶にたえない次第であります。しかしながらきょうここで論議をしたいことは、さらに議論を一歩進めて、福祉文化とはやさしさの文化であり、その根底にある人々の日常生活と深くかかわるハビトゥス・イデオロギーとしてのノーマライゼーションの思想の追求であります。  高齢による身体機能の低下、痴呆症、慢性疾患等のさまざまな障害を抱えつつも、でき得る限り住みなれた家で家族と生活をともにできる、それを支える社会福祉施策を充実するとともに、広く労働、余暇、教育、住宅、交通などの生活領域にも浸透した福祉文化を目指すべきだと思う事柄でございます。  スウェーデンでは、乳母車を押す母親が障害物なしに外出できるまちづくりが行われておりますし、道路や駅、商店街や公共建造物などの段差や障害物の除去など、健常者の視点のみからでは決して築かれることのないまちづくりが既に行われているのであります。  ハンディキャプトとノンハンディキャプトの間にある障害物はフリーであるという共通認識があって初めて、地域社会の人、物、心はやさしい文化に満たされ、福祉コミュニティーとしての姿が実体化することになるからであります。  我が国のこれらに対する思想は、今日まで冷たさの文化として処理されてきたと言っても過言ではありますまい。差別、不平等、隔離、同情だけの表現にとどまり、物を配っておけばよいといった過去の風潮はまさしく冷たさの文化の創造でありました。今厚生省を初めとして年々やさしさの文化が追求され始めてまいりましたが、何と申しましても福祉施策の担い手は地方自治体であり、その手によって強力に推進されなければならないのであります。  そして地域福祉政策は新しいシステムづくりが求められております。そのシステムをネットワーク化するためのソフトとハードの条件づくりもまた自治体職員に求められているのであります。ソフト面では、組織、機関、各種団体等の連携調整機能に加えて、地域福祉活動に関する情報収集、情報提供、人材育成、学習支援、集会、活動の場所の提供、相談窓口の設置が求められていると思います。またハード面では、市民の方々が利用しやすく活動しやすい多目的な機能を備えた市民福祉センター等の活動拠点の適正配置や、バリアフリーを促進する道路、住宅、乗り物などの公的部門の支援策などでありましょう。これらの計画策定の取り組みについての自治体の対応は、前向き、後ろ向きあるいは現状追認など、かなりのばらつきが見られるのも事実であります。本市の取り組み方はどうでありましょうか。  一方、在宅福祉についてであります。ゴールドプランのもとで、ホームヘルプ、デイサービス等は着実に拡充されてきておりますが、その需要に対し社会が提供し得るサービスの総量にはまだまだ大きな不足があり、かつまた家庭介護の悲惨な実態も存在するのであります。  例えば、ホームヘルプは週二回、デイサービスは週一回というのがせいぜいのレベルであり、現に要介護老人を抱える家庭においては、在宅福祉という美名のもとに家族が毎日介護に追われて大変な苦労を強いられています。夫婦、子供、嫁、どのような立場であろうとも、家庭介護の現実には家族愛では乗り切ることのできない肉体的、精神的限界に達している人々が少なくない現実。さらに、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯ではその深刻さは想像を絶するものでありましょう。  美しい理念には沿えない現実。人情味あふれるまちづくりを標榜されます三角市政にとりまして、高齢者福祉、特に在宅福祉サービスの充実はその哲学にかかわる根幹的課題であり、まさに重点施策として位置づけた積極的な取り組みが必要なのであります。  その意味で私は、本市が来年度、全国的にも早い時期にホームヘルプサービスの二十四時間サービスに取り組まれることを高く評価したいと思います。美しい理論とは乖離した状況のもとで、在宅での生活を強いられている要介護者、そしてその家族にとって本市のそれへの取り組みは大変心強いものとなるでありましょう。願わくは、一部の限られた人々だけでなく、必要な人々のすべてにサービスが提供されるよう祈りたいと思います。  次に、福祉政策の中において歳出面の転換は図らなくてもいいのかという問題の提起をいたします。  個々についての指摘は省略いたしますが、一例を挙げますならば、大阪の枚方市においては一九九四年度に、それまで四十年の歴史を持つ敬老金三億円を廃止して、その財源を二十四時間の在宅介護を目指す巡回型のホームヘルプ事業に振り向けたのであります。地方の自主財源や社会資本の不足を見越しての一つの英断でありましょう。現代社会におけるニーズの多様化は確実に進んでいるのであり、価値観もまた変容しつつあるのであります。投資効果の薄い、いわゆるばらまき福祉に類するような施策、事業の思い切った見直し、撤廃など、時代に即応した行政機構の柔軟な対応、予算の執行が今求められていると思います。さらには、現在の高齢者福祉、特に在宅福祉の問題等を語るとき、介護保険制度導入の問題に触れないわけにはまいりません。  介護保険制度については、厚生省は今国会中の法案提出、来年秋の制度導入を目指しているようですが、時期尚早というのが世論の大勢であるようであります。細川内閣のときに唐突に持ち出された福祉目的税の導入が世論の大反対に遭い未成立となりましたが、財政配分のシフトだけではこれからの高齢化社会に対応できない見通しが明らかな今日、介護保険制度は有力な選択肢の一つであることはだれしも認めるところでありますが、その導入決定に当たっては、私も拙速は避けるべきではないかと考えている一人であります。  しかしながら一つだけ確かなことは、先刻より申し述べておりますように、それが税に基づくものであれ保険に基づくものであれ、必要な福祉サービスは提供され続けなければならないということであります。病になれば病院にかかりますように、介護が必要になれば必要な介護のサービスが提供される、これが高齢者福祉の目標であり、そしてこの目標は必ず達成されなければならないのであります。  そこで、三角市長にはばらまき福祉の見直し、撤廃についての考え方も含めまして、本市の将来を展望した総合福祉政策についての御所見をぜひお伺いをいたしたいと思います。  また市民局長には、限られた財源、マンパワーの中で、本市は高齢者福祉の充実にどのような考えで取り組まれるのか、介護保険制度が導入されることになった場合の考え方についてもあわせてお尋ねをいたしたいと存じます。  最後になりますが、情報公開に関する質問に移らせていただきます。  昨今、都道府県の官官接待に伴う食糧費支出やカラ出張、カラ会議等の不明朗な公金支出の実態が盛んに報道されております。また、先般、原子力発電所「もんじゅ」の事故の際の情報秘匿、住専問題や血液製剤によるエイズ感染問題に関しての情報提供、情報公開のあり方の是非も問われております。  これらの実態が明らかにされるに伴いまして、住民の意識から余りにもかけ離れた行政運営や秘密主義に対して、行政のやることは信用できないというまでに国民の行政に対する不信感が高まっており、と同時に、行政に対する情報公開の要請が大変高まってきていると思うのであります。一九八〇年ごろから、民間の市民団体等を中心に、我が国におきましても情報公開を求める声が次第に高まり、昨年五月には、全国消費者団体協議会や市民団体など四十四団体による情報公開の制定を求める市民ネットワークが設立され、情報公開九原則が定められました。また、日本弁護士会連合会は情報公開法大綱を九四年に作成をいたしております。本市におきましても、市政に対する市民の理解と信頼をさらに深め、より開かれた市政を推進するためには、情報公開制度の確立は不可避の課題であると存じます。  しかしながら、情報公開に際しましてはプライバシーの保護に万全を期す必要があることはもちろんであり、またその対象範囲や手続、あるいは情報開示の手数料が数十万円となる場合があることなど、先行した自治体でも多くの問題を抱えていることも事実であります。  したがいまして、本市の取り組みに際しましては、拙速で問題点の多い制度をつくるよりは、慎重に検討を重ねて一つ一つの課題をクリアした上で市民の理解を得られる情報公開制度を確立すべきであると思うのであります。さきの十二月議会におきまして、市長御自身の情報公開とも言える資産公開条例を制定された三角市長にかわって、企画調整局長を兼務される御厨助役に、本市の情報公開制度の確立に対する基本姿勢と今後の取り組みについてお尋ねをさせていただきたいと思います。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) これからの福祉について、将来を展望した総合福祉政策について、私の見解を述べよというふうなことでございます。  一概に福祉政策と申しますと、文章に書きますと何となく立派なことを書かないかんというふうなことで、ありきたりになるわけであります。私は、福祉の今後の基本的な考え方、いわゆる障害者、高齢者に対するやさしさと、先ほどおっしゃいましたけれども、やさしさの文化というようなものをはぐくんでいくためには、一番大事なことはバリアフリーというふうなことであります。前も申し上げましたけれども、視覚障害者の方に、なかなか健常者の方々が胸襟を開くことができない。本当は視覚障害者の立場から言いますと、今この景色はどうなっておるか知りたい、それを、じゃあこれはこういう景色ですよと目の見えない方に言える度胸というか、この辺が健常者の方々に非常に足りなかったというふうに思われます。  そういう状況で、あらゆる障害者、そしてまた高齢者の方々も障害者と変わらないような肢体不自由的な形に発展をしていくわけでありますので、その辺に対する手の差し伸べ方と申しますか、これが遠慮とか、こうやってはいけないというような気持ちが健常者の方々にバリアを張っておるというふうに思われるのがやさしさにつながっていない、口では言っても行動としてあらわれないというふうな結果に終わっているというふうに思います。  そこで、まず第一番目は公的サービスを充実させなければならない。これは我々行政の仕事というふうに思っております。これからは予算の割合、比率にいたしましても、福祉に対する割合がかなり多くなってくるというふうに思いますし、そういう面で公的サービスの充実ということに心がけていかなければならない。  第二点目は、地域福祉の拡充と申しますか、そこにはボランティア的なものが今働いておったわけですけれども、地域福祉、やはり隣の方が困っておるときに手を差し伸べなければならないということが本能だというふうなことになるような地域福祉の拡充、そのためには行政のやるべきことと申しますと、小さいうちから福祉、環境教育を充実させていかなければならないということで、今回も七十九小学校区にまで、平成七年度環境福祉教育を独自なやり方でということを事業化させていただきました。これは中学のみでございましたが、これを小学校におろして、福祉の基本的な考え方、そういったものを体で覚えると申しますか、そういうことを図りながら地域福祉の拡充ということに力を注いでいかなければならない。  三点目というのは、やはり障害者、高齢者にとりましても、おのおのの極めて質的な高度なニーズが発生をしてくるわけでありますけれども、こういう問題につきまして、自助努力もさることながら、やはり有料介護の充実というふうなことも図っていかなければならない。介護株式会社といいますか、そういうものが本市にはほとんど見当たりません。  そういうことも含めながら、一、二、三点がうまくかみ合わされた、ネットワークされた二十一世紀に向かっていかなければならない。残された二十世紀ではございますけれども、この三点がぴしゃっとかみ合ったものにやっていかなければならない。福祉の心と申しますか、すべての人が同じ人間だというふうな心のあり方の涵養、そしてその持った心を実際行動に移せるという人でなくてはならないというふうなことを私自身考えておるわけでございまして、この三点セットがうまく組み合わさった人情味あふれるまちづくりをということを私の福祉の政策の根底といたしておるところでございます。        〔市民局長 市原敏郎君 登壇〕 ◎市民局長(市原敏郎君) 嶋田議員にお答えを申し上げます。二点であったかと思います。  まず、限られた財源でどのように高齢者福祉に取り組んでいくのかという点でございます。私はいろいろと高齢者対策があろうかと思いますが、やはり優先すべきは寝たきりや痴呆といった介護を必要とする方々が、いかに人間らしく尊厳と生きがいを持っていくのか、そのような要介護老人対策ではなかろうかなと、このように考えます。  私ごとで大変恐縮でございますが、私の家庭は三世代同居であります。私と家内、それに私の父八十五歳、母七十六歳、それに子供二人であります。十数年前、父が脳溢血で倒れました。リハビリに大変いろいろと苦労した経験がございます。おかげさまで回復し、今動けるような状態になっておりますが、世間の例にもれなく、数年前からぼけの状態が始まっております。これに対する私どもの家庭の中では、例えば必要ない行動をとりますとか、言葉が出なくなりましたとか、寒い時期で大変苦労をいたしました。トイレが一時間おきでありますとか、このようなことで家の中はてんやわんやの状態でありました。一時期は施設にお預かりをお願いしようかなと、このような考えをしたこともございますが、本人の意思を推察しますと、どうも家におりたいというようなことでありまして、現在私どもが一緒に生活をしているような状態でございます。このようなときに一つ学びましたことは、子供たちがその年寄りに対して、考え方、いろいろ勉強できたことではないかと、これはプラスの面でありました。このようなことで、要介護老人対策が必要であると考えます。  そのような方々が住みなれた地域や家庭で安心して暮らしていくための介護基盤の整備が肝要であろうと思いますし、また同時に、そうした介護を必要とする方々の二十四時間の質の高い自立した生活を支えるものでなければならないと、このように考えます。  あわせまして、これからは措置でなく利用者本位のサービス体制を築くとともに、寝たきりや痴呆になる前の対策ということで、健康づくりや予防対策、重度化防止のためのリハビリ対策も重要であろうと思います。  いずれにいたしましても、大変厳しい財政状況と考え合わせますと、必要最低限度のサービスは公的に保障していくといったことを前提としながらも、今重点的かつ優先的に取り組むべき事業は何なのかを明らかにし、施策にめり張りをつけていく必要があろうと考えます。そうした観点から、二十四時間巡回型ホームヘルプサービスを実施させていただきますよう今議会にお願いをいたしております。  このような取り組みを進める上で最大の課題は、先ほど議員もおっしゃいました財源の確保ということではなかろうかと思います。これからは必要度の薄れた事業、事業効果の乏しい事業といったものを常に見直しながら、スクラップ・アンド・ビルドを基本に施策を進めていかなければいけないと考えます。ばらまき福祉と言われないように心してまいりたいと思います。  次に、二点目にお答えを申し上げます。公的介護保険制度の導入に関したお尋ねでございます。  御承知のように公的介護保険制度は、超高齢化社会の到来に伴う介護費用の増大を国民全体の社会連帯のシステム、すなわち社会保障制度によって乗り越えていこうと、またこれまでの行政の措置中心のシステムを、利用者本位の、利用者がみずから選択し決定できるシステムに変えていこうというものであろうと理解をいたしております。そして、こうした介護保険制度導入に当たって最も懸念をされている点は、御案内のとおり昭和三十四年度に施行された国民健康保険制度がそうであったように、保険あってサービスなしといった状態になることではなかろうかと思います。私どもといたしましては、そうしたことにならないよう、施設やサービス、マンパワーといった介護基盤の整備に精いっぱい努力をしてまいりたい。  いずれにいたしましても、昨今の新聞紙上で御案内のとおり、公的介護保険制度につきましては、保険の運営主体や費用の負担といった肝心の部分がまだ固まっていない状況でございますので、今後とも国の動向等十分に注意深く見守りながら対処してまいりたいと考えます。        〔助役 御厨一熊君 登壇〕 ◎助役(御厨一熊君) 情報公開制度の問題につきまして、基本的な考え方と取り組みについて御答弁申し上げたいと存じます。  先生質問の中でお述べになりましたように、まさに今開かれた行政が叫ばれておりますし、情報公開制度の確立が緊急の課題となっております。このような動きの中で、国におきましても、国の機関として情報公開制度を制度化するという動き、論議がございます。五月中には中間答申が出て十月にはそれがまとまると、先生の御質問の中にもございましたが、これで国の情報公開制度の一応の形が本年度中にはまとまるかなというふうに感じております。  しかし、むしろこの情報公開制度は地方自治体の方が先行した形で進んでおります。私の記憶では、熊本市議会におきましても、既にもう十五年ほど前から基本的な考え方として、先生方に真剣に御論議、御討議いただいておる。最近では、昨年地方分権とかあるいは政治倫理条例との関連で情報公開制度を御論議いただきました。特に私の記憶として、情報公開制度を条例化する、制定するというそのものの形でこの議会で御論議いただいたのは一昨年のことだったと思います。それから殊に私ども具体的な準備段階に入らせていただいております。  情報公開制度は私が申すまでもなく、やはり行政の仕事を具体的に明らかにして、また市民にとっても身近なものと感じられるような行政を、そして行政への住民の参加を促す、そういう状態に持っていくということが必要な制度でございます。また行政自身にとりましても、単に行政の効率化とかあるいは簡素化とか、透明化とか、そういうようなことだけでなくて、やはりこれをやるということは、行政自体の行政体質を基本的に変えていく、本質にかかわるような重要な課題であるというふうに私どもは真剣に受けとめているわけでございます。  しかしながら御指摘のとおり、この情報公開制度をやるためには、プライバシーの保護という個人情報の保護に万全を期さなければなりませんし、またこういうものをきっちり守りながらも、先行している自治体の運用を調査検討いたしている中では、いろんな論議も出ているようでございます。例えば料金の問題がむしろ情報公開を阻害しているのではないかとか、あるいは情報の認定の問題、例えば非公開にする。それをさらに文書開示審査会でどういうふうに審査し、それを判断していく基準をどうするか、例えば最近の新聞で県の情報を読んでみますと、一九八六年に制定されました県の情報公開条例、九年間で四百三十三件ございますようで、その中で非公開になりましたものが百八件ほどあるようでございます。そのほか幾つかいろんな種類がございます。それがさらに不服申し立てになりましたのが四十四件あるという、そういう状態もきっちり踏まえながら、どういうふうに対処していくかということを考えておかなければなりませんし、また現実的に執行部の方で、いろんな事業計画の進捗状況とその公開というもののタイミングをどういうふうに考えていくか、あるいは情報を、どういうふうな範囲で物を考えていくか、問題はいろいろございます。そういうものを一つ一つ見きわめながら、一つ一つ解決しながら慎重に検討する必要があろうかと思いますし、そういう上に立って、市民の理解が得られるような制度を確立したいと、このように考えております。  情報公開制度の確立に向けた今後の取り組みといたしましては、市議会の御指導をいただきながら、あるいは民間有識者の方々の御意見を賜りながら、情報公開検討委員会を設置させていただきまして、情報公開制度の基本的な事項について検討をお願いしたいと考えております。現在この委員会について委員の選任等作業を進めておりまして、最終段階に来ているところでございます。新年度早々にも委員会をスタートさせていただきたいと、このように考えておるところでございます。  また、この委員会の設置と並行いたしまして、情報公開プロジェクトを執行部内に設置させていただきます。さらには、あわせて情報化施策にかかわる総合的企画機能あるいは調整機能といいますか、そういう充実強化の体制、セクションを検討してまいりたいと、このように考えております。今後とも議員各位の御指導を賜りますようによろしくお願い申し上げます。        〔四十三番 嶋田幾雄君 登壇〕 ◆四十三番(嶋田幾雄君) 他都市の追随を許さないまちづくり。熊本市独自の展開をもってつくる施策の数々。二十一世紀を目指して私どもの夢は大きく羽ばたかれなければなりません。地方の時代から地方の経営の時代という感覚を持った都市づくり。障害者にやさしい福祉文化の漂うまちづくり。教育の本質をしっかり見直すことのできるまち熊本。行政改革を中心に、総合行政の積極的推進など、時代の変革、価値観の多様化と変化にどう対処していくかを基本に、限られた時間内で私見を交えて質問をさせていただきました。国とともに、厳しい財政難の中での諸施策の推進こそ我々の大きな責務であります。  最初に申し上げましたように、九州の雄都たるべき、これからの新しい熊本市づくりのために、我々は日本人の持つすぐれた英知の結集をもって、一歩一歩確実にこれらの困難を克服していこうではございませんか、後から続く子供らのために。そのために、市民の方々ともどもに、みんなで汗をかいていきたいと、心から念願をいたすものでございます。  本日は、三角市長を初め執行部の皆様方には終始御丁重なる御答弁、御見解の御披瀝をいただきましてまことにありがとうございました。また長時間にわたり御清聴いただきました議員各位に対し衷心より感謝と御礼を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)      ───────────────── ○議長(荒木哲美君) この際、議事の都合により休憩いたします。  午後二時に再開いたします。               午後 零時二十一分 休憩               ────────────               午後 二時  三分 再開      ───────────────── ○議長(荒木哲美君) 休憩前に引き続き会議を開きます。      ───────────────── ○議長(荒木哲美君) 質問を続行いたします。内田三千夫君。        〔六番 内田三千夫君 登壇 拍手〕 ◆六番(内田三千夫君) 皆さんこんにちは。平成クラブの内田三千夫でございます。  平成八年度市政運営の方針を定めます第一回定例会におきまして、登壇の機会を与えていただきました先輩議員並びに同僚議員の皆様に対しまして心から厚く御礼申し上げます。  また、三角市長初め、六十五万市民のためにそれぞれの職場におかれまして日夜努力を重ねておられます職員の皆様に対しましても心から敬意を表するものであります。  本日は、本市が四月一日より中核市を迎えるに当たり、平成八年の重点施策の数点の行政課題や要望事項につきましてお尋ねしてまいりたいと思います。要領を得ない点も多々あることかと存じますが、何とぞ御寛容のほどいただきまして、市長初め関係当局者の明快なる御答弁をいただきたいと思います。  本市の市政運営の指針と財政運営の今後の見通しについてお尋ねしてまいりたいと思います。  三角市長におかれましては市長に就任されはや一年余が過ぎましたが、この間、双方向の対話を基軸に、心豊かで人間味あふれるまちづくりに努めてこられました。まさに人柄がにじみ出た三角市長らしい政治理念であるとその大いなる成果を大きく期待するものであります。しかし、この心豊かで人間味あふれるまちづくりというものはあくまで都市づくりの理念であり、これを実現するためには、そこに至る道筋あるいは指針といったものを市民に示すことが非常に重要で、一般的に市政運営の指針というものは、マスタープランという形で示されております。  このマスタープランとは、都市の将来像やあるべき姿を描くとともに、これを実現するための基本方策を明らかにするものであり、基本構想、基本計画、実施計画の三つで構成され、本市におきましては昭和三十六年の第一回目の策定以来五年から十年ごとに改定されてまいりました。  この中で、基本構想は地方自治法に基づき議会の議決を要するものであり、まさにまちづくりの基本理念をあらわすものであります。そして基本計画は基本構想に基づく施策の大綱を示し、さらに実施計画は具体的に実施年度や財源までを示すものであり、この三つが一体となって市政運営の指針となっております。  このような中、現在のマスタープランは、平成三年二月の旧飽託郡四町との合併により広大な市域と四万余の人的財産が新たに加わり、二十一世紀へ向けた都市づくりへの期待が大きく膨らむ中、平成三年三月に策定されております。  現在の基本構想を見ますと、まず都市づくりの基本的方向として、本市固有のすぐれた資産を最大限に生かし、社会の変化に的確に対応しながら、安全で快適な環境のもと、市民一人一人が人間本来の豊かさを実感でき、都市としての魅力と活力あふれるヒューマンシティくまもとを建設し、これを後世へと引き継いでいくこととなっております。  その内容は、一つに、水と緑の人間環境都市、二つに、いきいきとした市民福祉都市、三つに、活力あふれる交流拠点都市、四つに、風格ある文化創造都市の四つの柱から成り立っております。マスタープランが策定されてから既に五年が経過しましたが、この間、本市ではこのプランに基づき数多くの施策を展開され、そして多くの成果を上げてこられました。  と申しますのも、私は、現行のマスタープランが、市民の皆様を初め有識者の方々の意見を広く取り入れながら、なおかつ将来を十分に見据えて策定されたものであるからと考えるものであります。しかしながら今日、平成三年のプラン策定時には予想もできなかった著しい社会環境の変化が生じてきているのもまた事実であります。  まずもって、本市は、この四月中核市として新たなスタートを切ることとなり、明治二十二年の市制施行以来初めてシステム面で大きな変化を経験することになります。この中核市の移行により、都市計画や福祉行政を初め七百余の事務が発生するわけですが、いずれにしましても県から市への権限移譲に伴う執行体制の変革により、本市は新しい歩みを始めます。  一方、分野別にこれら変化の例を幾つか挙げてみますと、特に経済分野での変化が著しく、いわゆるバブル崩壊後の規制緩和や急激な円高は、国内企業の空洞化や価格破壊、あるいは新分野への進出などを引き起こしており、国内産業構造の再編成が今まさに進行中であります。  さらに、農業分野では、米市場の部分開放を含むガット・ウルグアイ・ラウンドの合意や、昨年十一月の新食糧法の施行など、日本の農業は今重大な岐路に差しかかっていると言えます。  また福祉分野におきましても、例えば高齢化が着実に進展する中、老人保健福祉計画の充実が緊急の課題となっておりますし、現在法案化に向けての公的介護保険制度の新設、公定歩合の引き下げに伴う預金金利の減少は、年金で生活されている高齢者世帯にとってはまさに切実な問題となっております。  このほかにも、依然として地下水問題を初めとする大気汚染や水質汚濁、土壌汚染、また、ごみの排出抑制等、環境の悪化が懸念されておりますし、また、教育におけるいじめや不登校の問題への対応や、阪神・淡路大震災を教訓とした耐震基準や防災対策の強化や見直しなど、今日平成三年のマスタープラン策定当時には予測し得なかった事態が数多く生じてきており、これらの課題への早急な対応が強く求められております。  このようなことから、私は、まず第一に、社会環境の変化が著しい今日にあっては、マスタープランを基本としつつも、その柔軟な運用こそ極めて重要であると考えるところであります。加えて、三角市長には市政を担当されて早くも二年目であり、そろそろ市長が常々おっしゃっております、心豊かな人情味あふれるまちづくりという政治理念の実現に向けたまちづくりの指針を明らかにしてほしいとの思いを強く抱いているところであります。  このような中で、今回本会議に提案されました新年度の予算案を拝見しますと、例えば先日の提案理由でも述べられましたとおり、「安全で健やかなまちづくり」「心のかようまちづくり」「生きがいを感じるまちづくり」「豊かな感性を育むまちづくり」という具体的な四つの柱が明示されており、静から動へという施策の転換が色濃く打ち出されております。厳しい財政事情の中にあって、時代の要請に的確に対応しつつも、市長の政治目標の実現への意欲というものが強く感じ取れるところであります。  ここで第一点目として、この三角カラーを市民の皆さんにより一層理解してもらうためにも、この四つの柱をお考えになられた意図といいますか、考え方を改めてお聞かせいただきたいと思います。  次に、このような三角カラーを実現していく上で財源問題が重要ですので、引き続き本市の財政運営についてお尋ねいたします。平成八年度の当初予算案の基本的な考え方や、中長期的な財政の展望等につきましては、本日午前中の嶋田議員の質問の中で詳しく出ておりましたので、重複は避けてお尋ねいたします。  今回の予算では、かつてない財政危機のもと、その政治理念の実現に向け貴重な財源を積極的かつ効果的に投入し編成されており、三角市長の行政手腕に改めて敬意を表する次第であります。しかしながら、本市では起債の償還年度がピークを迎える平成十二年には公債費比率が二〇%を超え、また、平成三年度末に百億円を超えていた財政調整基金も、八年度末には二十四億円にまで落ち込むとの報道がなされております。  財政運営を行うに当たっては、一般的に、経常収支比率や公債費比率等の指標が目安となり、例えば経常的経費は経常一般財源の枠内で行うことが原則とされておりますし、また、公債費比率につきましても、午前中もございましたが、一五%が黄色信号ラインと言われております。本市の場合、経常収支比率は、合併前の平成二年度が七三・二%であったのに対し、平成六年度決算では八二・七%になるなど、その比率が年々高まってきており、また、公債比率も平成二年度の一五・三%から六年度決算では一七・七%と二・四%増加しているところであります。  加えて、その運用に当たっては厳しい制約が課せられております財政調整基金につきましても、平成三年度末の約百八億円をピークに大幅に減少しているところであります。  御承知のとおり、本市ではいよいよ四月一日から中核市へと移行することとなり、今後市民サービスのさらなる充実を図っていかなければなりませんが、これをずばり申し上げますと、今後ますます財源が要るということであります。  現在の財政状況を一般の家計に例えて申し上げますならば、月々の給与に占めるローンの返済額が年々増加をして、また、非常時に蓄えていた貯金がどんどん減ってきている状況であり、このようなことから、私自身、今後の財政運営に非常に不安を抱くものであります。  そこでお尋ねでありますが、ただいま申し上げました経常収支比率、公債比率あるいは財政調整基金の現状等をどのように認識し、これを踏まえて今後の財政運営にどう取り組まれるおつもりか、総務局長のお考えをお聞かせください。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) 内田議員にお答えをいたします。  議員御指摘のとおり、マスタープランは三つの分野から成り立っておりまして、その基本構想につきましては平成三年度議決をいただいておりますとおり、その内容につきましては今の熊本市におきましても大変的確な構想だろうと思っておるところでございます。しかしながら、社会経済の変化がまことに著しい今日、特に福祉の問題、再開発の問題、防災の問題等々につきまして、実施計画を行う際にはかなりその運用の度合いを増していかなければならないと考えておるところでございます。これらの社会変化に的確に対応していくことが大変重要になってくるというふうに考えております。  例えば昨年の阪神・淡路大震災ほどの大規模の地震、しかも直下型の地震発生は、だれも想定できなかったところでありますし、また高度情報化につきましても、最近のマルチメディア化の進展、そしてまたパソコンやインターネットがこれほど一般社会に普及するとは到底予想もできなかった事柄であります。しかしながら、今やこれらへの対応は地方自治体にとってももはや避けられない重要課題となっております。  このようなことから私は、本市においても長期的視野に立った総合性、計画性とともに、社会変化への柔軟な対応をミックスした市政運営が不可欠であると考え、平成三年に策定されましたマスタープランを基調としつつも、時代変化への対応と私なりの理念を加味したものを今後の市政運営の四つの柱としてまとめ、先般からいろいろな機会に申し上げているところでございます。  その考え方を改めて申し上げますならば、私が市長就任以来まちづくりの理念として申し上げてきた人情味あふれるまちづくりの考え方をさらに広げ、市民一人一人が幸せを実感できるための四つの条件、すなわち健康であること、人間関係が良好であること、仕事があり、生きがいがあること、美しいものを美しいと感じる心を基本となる理念に位置づけ、これをもとに施策体系の四つの柱として構成したものであります。  その第一、健康を実感できる「安全で健やかなまちづくり」につきましては、健康は人の幸せの基本であるという普遍的な理念の中に、生活環境、都市環境の安全、健康といったことを含めて考えていこうとするものであります。  市民の心身の健康づくりはもとより、阪神・淡路大震災の教訓としての防災対策の充実、あるいは昨年全会一致で議決いただきました環境保全都市宣言に基づく環境にやさしいまちづくり等が、時代変化を勘案し、より重点的に取り組むべき課題として考えられるわけでございます。  第二の豊かな人間関係をつくる「心のかようまちづくり」につきましては、福祉、教育、そして都市交流等の分野において、その基本に豊かな人間関係の創造をとらえて取り組んでいこうとする考え方であります。
     そのような意味において、地域社会が人間味あふれる温かい触れ合いを取り戻すことは大変重要な課題であり、都市化の進展とともに、共同体としての機能を喪失した地域社会を新たな連帯感を持つコミュニティーとして再生すべく、各校区におけるまちづくり委員会の設置など、各種のコミュニティーづくり施策を一層積極的に推進してまいりたいと考えております。そしてこのことが、ひいては人と人との連帯感や思いやりをベースとしている福祉や教育などの分野においても大きな効果をもたらすものと確信する次第であります。また、国の内外の友好姉妹都市の市民の方々とも心のこもったおつき合いを進めてまいることは申し上げるまでもございません。  三つ目の柱は、仕事や活動を通して「生きがいを感じるまちづくり」であります。  長引く不況の中、都市基盤の整備による都市の活性化や産業、経済の振興を図ることによって雇用を拡大し、都市活力を維持するとともに、市民一人一人が仕事や地域活動の場を通じて、生涯現役という生きがいを感じることのできるまちづくりを行っていきたいという考えであります。議員仰せのガット・ウルグアイ・ラウンド、新食糧法等による新たな農業問題等についても、この観点から真剣に取り組んでまいりたいと考えております。  最後に四つ目の柱、美しいものに感動できる「豊かな感性を育むまちづくり」でありますが、これは本市の豊かな自然環境、あるいは歴史、文化を大切にし、その恵まれた都市環境のもとで、市民一人一人が豊かな感性、情操をはぐくんでいく、そのようなまちであり続けたいという考えであります。  私は何より、現代社会に失われたものはゆとりではないかと考えている次第であり、人情味、幸せといった、私がよく申し上げる言葉の根底には、市民生活が、特に心の面においてゆとりあるものであってほしいとの願いを強く込めているものであります。  そのような意味で、物心両面での市民の貴重な財産である豊かな緑と清冽な地下水、綿々と築かれた歴史、文化を次代に引き継いでいくとともに、美しいものに感動する心をはぐくむため、熊本城復元整備計画の策定やお城まつり、あるいは県民文化祭の開催、くまもと漱石博、世界蝶類展等、さまざまな事業に取り組んでまいりたいと考えております。  新年度から本市は中核市としての新たな歩みを始め、さらなる飛躍を目指していくわけでありますが、私は、その基本となりますのは、この四つの柱に基づく、すべての市民が幸せであると感じられる都市の実現であり、これを当面の市政運営の指針として、全力を挙げて都市づくりに取り組んでまいりたいと考えておりますので、どうか、議員各位の御理解、御支援を賜りますようお願いを申し上げます。        〔総務局長 野田晃之君 登壇〕 ◎総務局長(野田晃之君) 経常収支比率、公債費比率、あるいは財政調整基金の現況についてどう認識し、今後どのように財政運営に取り組んでいくのかというお尋ねでございます。  まず経常収支比率でございますが、基本的に経常一般財源、すなわちその大宗を占めます市税、地方交付税の額の推移によりまして、これにつきましては大きな影響を受けるものでございまして、この比率が、過去円高不況の昭和六十年度に、平成五年度同様高い数値を示しておりますことからもうかがえますよう、景気低迷の時期におきましては、その数値が上昇ぎみになっているという側面もございます。  なお、平成六年度に、ただいま御指摘になりましたようにその数値が八〇%を超えておりますが、これは特殊要因といたしまして六年度に実施されました特別減税の影響がございまして、この減税による影響がなかったとすれば七〇%台で、平成五年度よりも若干低い数字となるものとなっております。  しかしながら、いずれにいたしましてもこの比率が高目の数値で推移いたしておりますことは御指摘のとおりでございまして、今後その動向に十分注意をしながら慎重な財政運営を行っていかなければならないと考えております。  次に、公債費比率でございますが、午前中嶋田議員にもお答え申し上げましたけれども、これまで本市は、社会資本の整備が将来の財政力の確保にもつながるという視点から、起債を活用した積極的な事業の展開を図らせていただいておりまして、特にここ数年は、市議会のお許しをいただきながら、長期にわたります景気低迷のもと、国の政策的要請としての普通建設事業の推進に努めてまいりました。この結果といたしまして公債費比率が高目に推移いたしておりますことは、これもまた議員御指摘のとおりでございます。  さらに、今年度の開発公社の清算に伴います地方債の発行の影響もあり、今後しばらくは公債費比率は高目の数値で推移せざるを得ないと考えておりますけれども、高水準に過ぎるという御批判も極めて強いものがございまして、今後の財政運営の中で、極力その抑制に努めていかなければならないと考えているところでございます。  次に、財政調整基金の状況でございますが、財政調整基金は地方公共団体におきます年度間の財源の不均衡を調整するための積立金でございまして、経済の不況等により大幅な税収減に見舞われたり、災害の発生等により思わぬ支出の増加を余儀なくされたりする場合など、予期しない収入減少や不時の支出増加に備えておくものでございます。  先ほども申し上げましたように、本市ではここ数年、景気低迷の中で、地方財政計画等で示されます国からの要請等も踏まえまして、積極的なまちづくりの推進、社会資本の整備が、経済の浮揚、景気回復につながるとの認識のもと、地方単独事業の推進に全力を傾注してきたところでございまして、このため、ただいま申し上げました財政調整基金の設置趣旨等を勘案いたしまして、その活用を図らせていただいたところでございます。  また、新年度は、義務的経費の大幅な増嵩等もございまして、財源的に特に厳しい状況にあると考えておりますが、一方では、本市が中核市としての第一歩を踏み出し、これを契機にさらなる飛躍に取り組んでいかなければならない重要な年に当たっているということもございまして、都市基盤の整備による都市の活性化に、一定水準以上の公共事業を確保することが必要だという認識のもとに、新年度におきまして財政調整基金の活用をさらにお願いいたしているところでございます。  この結果、財政調整基金の現在高は、議員がお述べになりましたように、平成八年度末では二十四億円程度ということになるところでございますが、もちろん財政当局といたしましてもこの金額が十分なものと考えているわけでは決してございませんけれども、現下の厳しい状況下ではやむを得ない措置と考え、お願いをいたしたところでございます。今後、財政状況の推移を見きわめながら、その充実に心がけていかなければならないと考えているところでございます。  以上、財政指標につきましてそれぞれお答え申し上げましたが、いずれの財政指標につきましても、それぞれにそれなりの特殊要因もありますものの、総じて見れば、厳しさが増す方向で動いておりますことは議員の御指摘のとおりでございます。したがいまして今後の財政運営につきましては、これらの改善に十分留意いたしながら、財政の健全化に向けまして、できる限りの対応を進めなければならないというふうに基本的に考えております。  具体的には、さきの行政改革推進委員会の提言等も踏まえながら、全庁連携のもとに、事業の優先順位の厳しい選択、事務事業の整理合理化による経費節減などはもとよりでございますが、国庫補助金等特定財源の確保、あるいは後年度に財源措置のある起債の活用など、財源対策につきましてもこれまで以上に努力を重ねてまいりたいと考えておりますので、議員各位の御理解、御支援をお願い申し上げる次第でございます。        〔六番 内田三千夫君 登壇〕 ◆六番(内田三千夫君) 市政運営につきましては三角市長の方から御答弁いただきましてありがとうございました。平成三年三月に制定されました基本構想、基本計画、基本理念を基調として、市長が今四つの柱、健康づくり、人間関係、仕事、美しいものが美しいと言えるような、この四つの柱を組み合わせて平成八年度は推進していかれるということであります。その情熱というものを聞かせていただきました。ありがとうございました。  これからの地域社会づくりは、三角市長がおっしゃいましたように、人と人との心の触れ合いを大切にして、相互に協力し合い、それぞれの地域の持つ歴史や特性に着目して創造と工夫を行い、市民の意見を取り入れ、市民と一体となった行政の推進が必要だと考えます。  今の市民の方々は、意識や価値観が複雑化、多様化いたしております。最近は、物質よりも精神的な安定、文化的な豊かさ、自然と都市の調和のある人間生活を求める人々がふえていると感じております。このような市民のニーズを的確にとらえた四つの柱を掲げられた三角市長には改めて敬意を表するところでございます。  また、平成八年度に向けて財政は総じて厳しい状況であるということであります。将来の財政規模の変動に備えて、財調の蓄えは大変大事だろうと思います。いついかなるとき不時の出費があるとも限りませんし、非常時の災害や緊急に迫られるやむを得ない事業に向けるための毎年一定額の積み立てというものは安定的な財政運営を構築するものでありますので、確実に留保できるように努めていただきたいと思います。  また公債費につきましては、いわば借金の返済金であり義務的経費に含まれており、財政構造の弾力性を判断する一つの尺度となっております。この比率が高くなりますと、午前中もございましたように将来において財政硬直化の要因となり、一般財源を圧迫することとなります。  また理想的な地方財政を考えますときに、一般的に言うならば、少なくとも経常収入で経費支出を十分補って、なお相当額の一般財源を建設事業費などの臨時支出に充てることではないかと思います。厳しい財政状況下ではありますが、市当局にはより一層の財政の健全化を目指されますようお願い申し上げまして、次の地方分権の質問に入らせていただきます。  国の権限や財源を地方自治体に移譲して、自立や個性ある地方自治を実現することを目的として昨年の五月に地方分権推進法が制定されております。この背景には、国際化時代への対応する力を増し、ゆとりと豊かさを実感できる社会を実現するためには、この地方分権が必要であるという幅広い認識があったためと思われます。  しかしながら、現実的には中央省庁機関からしますと、この地方分権に対しては非常に理解不足であります。地方分権推進委員会が昨年十一月からそれぞれの省庁と行ったヒアリングでは、国が地方自治体に委託処理している機関委任事務の大半を国の承認などが要らない自治体事務とし、国の事務として残す場合は国の指示に自治体の異議申し出を認めることなど、機関委任事務の地方への移譲の検討対策が出されましたが、地域の細かい事務分野まで国の責任があるとし、機関委任事務は国と地方自治体の共同事務であり、整理は困難と、それぞれの省庁が難色を示しているのであります。  また補助金制度の改革にしましても、国が握っています自治体向けの補助金は約二千二百件余りもあり、平成七年度予算額は総額十四兆五千百億円の財源を握っています。まちづくりの上で必要な施設建設を行う場合にも、関係省庁への補助金獲得のため、長い年月と粘り強い交渉がこれまでどおり必要とされます。  このような制度を国が根本的に改めたくない考えとして、地方自治体に対して影響力を行使する手段として、財源という権力を誇示しておきたいからにほかなりません。省庁機関側からすれば、機関委任事務と補助金は地方をコントロールする二本柱とさえ言われております。  地方分権は国と地方に通ずる行財政の仕組みを根本的に改めていくことでもあることから、それに対しての中央の関係省庁などの抵抗も根強くありますが、そうした抵抗を乗り越えて地方分権案を提示するとともに、自治体に移譲された事務や権限を最大限に活用しながら二十一世紀へ向けた体制づくりが自治体には求められております。  この流れの中で、本市は、住民参加のもと、特性に応じた個性ある地域づくりと、住民福祉のさらなる質的な向上を図るため、中核市としての要件を満たす全国六十六の都市自治体が先導的役割を果たすべく中核市第一次の指定制度の移行を希望いたしたところでしたが、本市では、昨年十二月五日閣議決定の上、十二月八日政令交付を受け、本年四月一日より中核市として歴史的なページを歩み出すことは皆様御承知のとおりであります。  本市は現在、東京特別区及び十二市の政令指定都市を除けば大阪府の堺市に次ぐ全国で十五番目の人口を有する都市でもあり、二十一世紀に向けた都市基盤づくりにおいて、九州中央の中枢拠点都市として、また熊本県の県都として、市長の基本理念でもあります、すべての市民が幸せと感じる都市づくりの実現のためにも、今回の中核市指定は意義のあるものとしていかなければなりません。  特に市民生活に密接した福祉、保健衛生、環境、都市計画などの事務が県から移譲されることにより、申請から許認可に至るまでの一連の事務処理が本市で一括して処理されますので、事務手続の簡素化、迅速化が速やかに行われるとともに、市民の身近なところで密接に関係する行政が行われることにより、市民サービスのより一層の向上が図られることとなります。また開発許可、土地区画整理、屋外広告物、環境にかかわる諸規則等に関する権限の移譲を受けることにより、本市の魅力を生かした個性豊かな独自のまちづくりを市民の協力や提案や参加を得ながら、さらに積極的に推進されることが大いに期待されるところであります。  三角市長は、昨年は静の一年だったが、ことしは動の年と位置づけられ、双方向の対話を掲げて、市民の身近な生活環境問題を初め、福祉や教育、まちづくり等に対しさまざまな意見を伺いながら、その内容を市政に反映させようと考えられ、そのためには政策形成が可能な限り市民の身近なところで決定できる体制の確立、すなわち真の地方分権の確立が必要であると述べられております。  お尋ねですが、本市では、みずからのまちはみずからつくるという市民一人一人の自治意識のもとで、創造性や自主性と行政の専門性、計画性を持った、市民と行政が一体となった都市づくりを目指しており、本市が四月一日から中核市を迎える心構えなり、地方分権をどのように推進されていくおつもりなのか改めてお尋ねするものであります。よろしくお願いいたします。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) 地方分権についてのお尋ねでありますが、今日、我が国においては、二十一世紀に向けて、国際化、情報化、高齢化が進展する時代の流れの中で、国民一人一人がゆとりと豊かさを実感できる個性豊かで活力に満ちあふれた地域社会の実現が求められております。  そもそも、地方自治の本旨は基本的には住民自治であり、地方がその特性を生かし、多様化する住民の行政ニーズに的確にこたえ発展していくためには、今以上に国と地方が適切に責任と役割を分担し合う地方分権の推進が不可欠であると考えております。  現在、国においては、昨年五月に地方分権推進法を制定し、地方分権を推進するための基本理念を明らかにするとともに、その推進計画を策定することとしております。先日の新聞報道によりますと、地方分権推進計画の作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告するために設置された地方分権推進委員会の専門部会でありますまちづくり部会あるいは暮らしづくり部会においては、都市利用基本計画の策定や、保健所と福祉事務所の必置規制、生活保護事務等について、これらを地方自治体に移行することを求めており、地方分権に向けて非常に画期的な基本方針が取りまとめられたところであります。  しかしながら、このような国の動きとは別に、国の政策との整合性や全国的な統一性が必要であるとする中央省庁の抵抗も強く、地方分権が今後どのように推移するのか、今なお予断を許さない状況にあります。  このような中、本市は四月一日にはいよいよ中核市としてスタートするわけでありますが、指定内示をいただきましたときに七百三十三の権限を移譲というふうなことになっておりましたが、今ではさらに進みまして九百七十一になっておるところであります。住民に密着した個性的なまちづくりを積極的に進めるためには、分権の受け皿としての地方の充実を一層強化してまいらなければならないわけでございます。  したがいまして、私は今後、全国市長会を初めとする地方六団体を通じて、──二十七都市が中核市の要素を備えておるわけでございまして、この二十七市におきます連絡協議会を既につくっておりまして、元自治省の事務次官あるいは内閣官房副長官をされた石原氏がこの協議会の顧問として十二月二十六日に就任をしておられるわけでございます。なお、四月一日からスタートいたします十二市の中核市におきましては既に下打ち合わせをいたしまして連絡協議会をつくり、二つの部会をつくり、私は地方分権推進部会に入らせていただくということになっておりますが、そういう中でこの調査研究を進め、他の都市自治体と連携、協力をしながら積極的に地方分権の推進に努めてまいる覚悟でございます。なお、この裏打ちをいたします財源についても積極的に要求をしてまいりたいと考えておるところでございますので、議員各位のさらなる御支援、御協力をお願い申し上げる次第であります。        〔六番 内田三千夫君 登壇〕 ◆六番(内田三千夫君) 三角市長から今、地方分権の推進について、十二都市の連絡協議会の中で地方分権推進部会の方に入られるということでございますので、積極的に三角市長にリーダーシップをとっていただいて、積極的な地方分権の確立を目指して頑張っていただきたいというふうに思います。  特に地方分権の問題は具体的な計画作成の段階へと移っていると思います。地方分権は、国や地方を通ずる行財政の仕組みを根本的に改めていくものでもありますので、国の省庁機関などの抵抗も非常に根強いことはさっきの質問でも、また三角市長の答弁でもあったわけですが、そういう意味で、本市がさらに総合的な市民サービスの向上を図れるように、この地方分権の推進というのは非常に大事だろうと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。        〔議長退席、副議長着席〕  次に防災対策についてお尋ねいたします。  戦後の日本経済は非常に発展が目覚ましく、国民生活は著しく向上しており、今、我々はかつてない豊かな経済社会の中で生活しております。戦後五十年を経た今日、経済的な豊かさが実現し、国民の価値観や意識が大きく変化している中で、自然条件、国土利用形態に加え、生活様式の多様化、災害弱者の増加等、我々の多くが居住する都市を取り巻く環境の変化により、災害は多様化し、都市は災害に対し意外なもろさを露呈してきております。  地球規模での温暖化現象、大寒波、大洪水が発生する中、国内においては、平成四年の雲仙・普賢岳の噴火、平成五年の釧路沖地震と南西沖地震、そして昨年の兵庫県南部地震と、近年立て続けに多大な被害を伴う災害が発生しています。  本市におきましても、昭和二十八年のあの忌まわしい六・二六大水害を初め、大洋デパート火災や台風十九号の襲来など、これまで幾多の災害に見舞われ、その都度これを乗り越え、その経験を踏まえた諸施策を推進され、今日の熊本市が築かれたのであります。  そして、あの関東大震災以来の最悪の地震災害となりました阪神・淡路大震災が起こりました。この阪神・淡路大震災の特徴は、いろいろこの本会議でも取り上げられたかと思いますが、改めて災害の認識を深める意味で述べさせていただきたいと思います。  平成七年一月十七日の明け方、午前五時四十六分発生。この時間帯は社会活動開始前の時刻でもあり、老朽化したかわらぶきの木造家屋が多数倒壊して、就寝中の多数の人々を圧迫死あるいは窒息死させました。さらに火災が多発して広範囲に延焼し多くの焼死者を出しております。昨年の五月八日現在での被害については、死者五千五百二人、行方不明者二人、負傷者四万一千五百二十一人、家屋全半壊(焼失を含む)二十万七千二百八十三棟、火災発生件数五百三十一件に達し、関東大震災以来の最悪の地震災害となりましたのは皆様記憶のとおりでございます。特に死者については五千五百二人のうち何と四千八百三十一人、全体の八七・八%が家屋や家具類等の倒壊による圧迫死と思われるとの検証がなされております。  この原因は、ほとんどの人が就寝中の出来事であり、かわらぶきの木造住宅家屋倒壊によるものと考えられます。また年代別では、死亡者の半分に当たります二千九百二十一人が六十歳以上の高齢者となっております。加えて、新幹線初め鉄道や高速道路の高架橋の崩落や橋梁や港湾施設の損壊、さらに鉄筋鉄骨コンクリートづくりの中、高層ビルの倒壊や地下鉄内の損傷など、新たな建築物、構造物の莫大な被害を考えますと、この震災が社会活動時間に万一発生していたとしますならば、もっと被害者は増加していたものと考えられます。またライフラインの被害も著しく、電話は二十八万五千回線が通話不能となり、電気、水道は百万戸、ガスは四十二万五千戸ストップいたしました。  その機能回復は電力供給施設で一週間、電話施設で二週間、上水道で約一カ月半、都市ガス供給施設で約三カ月の日数がかかっているようです。また道路、鉄道、港湾、空港などの交通網の破壊による分断が各所で相次ぎ、救急車両の到着がおくれて被害が拡大したり、また救援物資の運搬車両や復旧工事車両が被災地の中に入れず復旧がおくれたことなどが特徴とされております。  このような中、私たちは、さきの阪神・淡路大震災により、特に直下型の地震は現在の科学では必ずしも予測できるものではなく、その規模も経験の範囲を超えることもあり得ることや、一たび大地震が発生すれば大きな被害を招く危険性があることを改めて認識させられたものであります。  今なすべきことは、そこから得た貴重な教訓を今後の安全対策に生かすことではないでしょうか。その際、想定を超える災害に対しては、生命の安全の確保を第一としつつ、災害を最小限に食いとめられるような災害に強い都市づくりを目指す必要があると考えるところであります。そして、地震を初めとして、大雨、台風などに対する備えとして、総合的な防災対策を着実に進めていく必要があると強く感じています。  本市の都市づくりと防災対策についてでありますが、それぞれの部局において、火災対策、防災公園、非常用物品の備蓄、防災啓発等、積極的な取り組みが現在なされているところであります。そこで、より効果的なより効率的な本市の防災対策として、これから一本化し、まちづくりまでコーディネートするような調整機能が必要であると考えるところであります。この機能の確立による日ごろの連携行政が、ひいては地震などの大災害時における連帯のとれた活動につながるのではないのでしょうか。この件についての三角市長のお考えをお聞かせください。  次に、現在それぞれ取り組んでおられます防災対策について何点かお尋ねをいたします。  一点目は、都市防災にとって非常に重要な道路についてであります。  まず、市街地における幹線道路は、大震災時の避難路、消火、延焼遮断帯となるほか、緊急輸送路としてなど、都市の防災構造化に大きな役割を果たすものであります。都市の不燃化や地区レベルの防災対策、あるいは避難場所の整備も、骨格となる都市網が適切でないと効果は十分発揮できないわけであります。幹線道路の計画は、各都市で都市計画法に基づく都市計画道路として決定されるわけですが、本市の場合、この幹線道路の整備に当たって、防災面の効用を含めて検討いただいているのかをお尋ねいたしたいと思います。  また、幅員四メートル未満の道路いわゆる狭隘道路は、火災のときの消火や救援活動に支障となるほか、大規模火災において避難が困難であるなどの問題を抱えております。本市における幅員四メートル未満の道路の防災対策はどうなっているのでしょうか、お尋ねいたします。  二点目として、非常時に備えた食料などの備蓄についてであります。  昨年十二月、各市民センター十カ所にコンテナ式防災備蓄倉庫を設置され、乾燥米、乾パン、毛布、タオル等備蓄されたとのことであります。熊本市地域防災計画を見てみますと、一時避難場所は各地域の小中学校及び高校が主体であり、各市民センターは補助的なものとなっているようであります。市民サイドで考えてみましても、避難場所として真っ先に頭に浮かぶのは近くにある小学校であり中学校であり、学校関係だろうと思います。また公園だろうと思います。さきの阪神大震災でもかなりの小中学校が避難場所として使用されていたようであります。実際、大震災時には多くの市民が避難すると思われ、市民センターより収容能力があり、かつ避難場所を考慮した場合、自宅から近くより利便性のある小中学校を、備蓄倉庫を備えた避難場所として整備すべきではないかと考えるのであります。  そこで、現在実施されております各市民センターの食料等の備蓄は今後とも続けていかれるのか、それとも、これはあくまで暫定的なもので、最終的には小中学校への備蓄も実施されるのか、市民局長にお尋ねいたしたいと思います。  第三点として、現在改正作業が進められております熊本市地域防災計画についてお尋ねいたします。  本市の地域防災計画は隔年ごとに見直しが行われ、主に水害対策について充実が図られてきたところであります。地域防災計画は地方公共団体における総合的な防災対策の基本となるものであり、災害に強い都市づくりや、災害発生時に迅速かつ的確に応急対策の実施に当たって極めて重要な役割を果たすものであります。今回の見直しは、特にさきの阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、さまざまな角度から見直しがなされることと考えるわけですが、教訓をどのように生かし、地域防災計画をどのように改正されようとしておるのか、建設局長にお尋ねいたします。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) お答えをいたします。  未曾有の被害をもたらした阪神・淡路大震災の発生から早くも一年有余を経過し、被災地では復興のつち音が高らかに響いておりますが、その陰では今なお不便な生活を強いられている被災者の皆様が多数おられます。被災者の方々を思うにつけ、市長としての私に課せられた大きな使命であります市民の生命と財産を守る、このことについて今後とも全力を傾注していかねばならないと改めて思いを強く持つものであります。  今市議会冒頭の提案理由の説明の中で、私は、市民の皆様方が健康であることを実感できる安全で健やかなまちづくり、それを目指すために、災害に強い安全なまちづくりに積極的に取り組む旨、申し上げたところであります。  新年度予算におきましても、それぞれの部門で防災対策関連経費を計上しておりますが、議員御指摘のとおり、部局間の連携や調整が事業の効率性を高める上でも極めて重要であると考えております。したがいまして、今後の防災対策が医療や消防、住宅、都市計画など行政のいろいろな局面に深いかかわりを持つことを考えますと、防災対策課が中核となって災害全般にわたり調整機能を果たすことができるよう、その組織内での位置づけ、あるいは体制の充実強化を図らなければならないと痛感をいたしておるところでございます。また、庁内の連携強化とともに、市民間の連携が災害発生時に大きな力を発揮することは、さきの大震災での教訓で明らかとなっております。  このため、第一に、不幸にして災害が発生した場合の対応と申しますか、さきの豊浜トンネル事故でも見られましたように、局外の、いわゆる自衛隊、警察、消防、医療班、あるいはライフライン等々の現場で指揮をする指揮官がいなかったというふうにも承っておるところでありまして、そういう各災害の体験の現場の声を聞きますときにこれが一番重要だという話でございます。  そういうことを思いますときに、災害対策本部の本部長、副本部長のもとに災害現場指揮官を常に置かせていただきながら、常日ごろからそういう各般にわたる方々との連携を密にしておこうというふうに考えているところであります。  また第二に、自分の身の安全は自分で守るということが防災の基本であることから、新たに市民防災教室の開催などによって自主防災組織の育成を図り、災害に強く思いやりのある人づくり、まちづくりに取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。  今後とも議員各位の御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。        〔都市局長 本田吉継君 登壇〕 ◎都市局長(本田吉継君) お答えいたします。防災面からの都市計画道路についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、市街地におきます幹線道路は、災害時には避難路や延焼遮断帯となりますし、消防、医療活動、物資の輸送等、重要な役割を担うものであります。  本市におきましてもこれまで、防災計画の中で特定の幹線道路を避難路として位置づけているところでありますが、阪神・淡路大震災の被害状況などを見ますと、住宅密集地におきます道路、公園等の基盤整備をさらに向上させることが必要であると考えております。  特に都市計画道路は、健康で文化的な都市生活、安全で機能的な都市活動を確保するための基本的なインフラであります。したがいまして、これまでは都市計画道路の整備の方針といたしまして、交通問題の解消等を優先して整備をしてきたところでございますが、今後は防災の観点も考慮に入れまして整備を進めていく必要があると、このように考えております。  いま一つは、整備された都市計画道路でありましても、災害時に沿道の建築物等が倒壊したりすることによりまして、その道路が安全に通行できませんとその効果を発揮いたしません。  そこで、これまでの耐火建築物の建築を促進しますために指定しております防火、準防火地域のほかに、新たに避難路となります都市計画道路の沿道に防火、準防火地域の路線指定をすることを検討いたしております。したがいまして、平成八年度からその検討作業に着手させていただきたいと思っております。        〔消防局長 吉原準二君 登壇〕 ◎消防局長(吉原準二君) 内田議員に御答弁申し上げます。  道路狭隘地区におきます防災対策について、さきの阪神・淡路大震災の被災状況について具体的な事例を挙げてのお尋ねでございました。  いわゆる狭隘道路が走ります木造家屋の密集した地域において、特に倒壊家屋等によって通行の障害となり、消防車両等が思うように進入できず、消火、救助活動に大きな支障を来したと、そういった指摘がございますが、これらの地域の消防対策の重要性につきまして、私どもといたしましても再認識をしたところでございます。  本市消防局といたしましても、このような地域の消火活動対策には従来から特に意を用いてきたところでございますが、先年の大震災の教訓を踏まえまして、早速、市内全域を対象に、消防車両等の通行が困難な狭隘道路の実態調査を行ったところでございます。  これらの木造家屋が密集した地域におきましては、一たび火災が発生すれば延焼拡大が予想されますので、消防局といたしましてもこれらの地域を火災危険地域として指定をいたしまして、迅速的確な消防活動が行えるような警防計画、消防活動マニュアルといいますか、そういうものを策定いたしております。この計画に基づきまして、昨年五月十七日に、火災危険地区を中心とした地震災害を想定し震災訓練を実施いたしたところでございます。  今後は、警察、自衛隊とも協力しながら、効果的な消防活動に努めるとともに、こういった地域の災害の危険性をわかりやすく関係住民の皆様方に周知するためにも、自主防災クラブの結成等を図りながら、地域ごとの自主防災体制の確立を図りまして、道路狭隘地区の防災対策の万全を期してまいりたいというふうに考えております。        〔市民局長 市原敏郎君 登壇〕 ◎市民局長(市原敏郎君) お答えを申し上げます。  お尋ねの非常時に備えた食料等の備蓄につきましては、市内にも活断層が走り、いつ震災が発生するかもしれないといったような状況も踏まえまして、早速、昨年の四月に乾パンやアルファー米四万食を購入し、緊急の対応策をとってまいりました。  その後、本年二月に購入いたしました分と合わせまして、現在、十八万食の非常食料を確保し、市内十カ所にある市民センターのコンテナ式災害備蓄倉庫に配備いたしております。また、毛布、肌着、タオル等の日用品も逐次今年度内に納入、配備の予定でございます。  このように、現在とっております市民センターへの分散備蓄体制は、地域防災計画の見直しが策定されるまで先行して行う第一段階の備蓄でありまして、今後順次建設されます防災公園内の防災倉庫にも食料等の分散配備を予定いたしております。  ただいま御指摘をいただきました小中学校への備蓄につきましては、阪神・淡路大震災で学校施設の多くが避難場所となったようでありますし、今後の検討すべき重要課題であると考えております。  いずれにいたしましても、物資の保管場所だけでなく備蓄物資の中身や数量も含め、今後関係機関や関係部局で策定される地域防災計画の基本方針に従って実施をしてまいりたいと考えます。        〔建設局長 齊藤 聰君 登壇〕 ◎建設局長(齊藤聰君) 私からは地域防災計画の改正についてお答えを申し上げます。
     本市は過去に幾多の水害や台風に見舞われ、これらの豊富な経験をもとに、風と水への備えについてはかなりの充実強化が図られておりますが、地震災害につきましては、明治二十二年の熊本地震以来、幸いにも大きな地震に襲われることもなかったため未経験の分野も多く、その対応は必ずしも十分とは言えない状況でございます。さきの阪神・淡路大震災では、高齢者など災害弱者と言われる方々に人的被害が集中したこと、被害状況など情報の収集体制の不備、避難所の設置と管理運営など、多くの問題点が明らかになったところでございます。私ども地域防災に携わる者といたしまして、それらの貴重な教訓に学びながら、今後の防災対策の万全を期していかなければならないと痛感をしているところでございます。  お尋ねの地域防災計画の見直しにつきましては、本市のまちづくりの基本方針の一つである「安全で健やかなまちづくり」に沿って、まず一番目に災害に強い安全なまちづくり、二番目に、災害に強い思いやりのある人づくり、三番目に、災害に強い組織体制づくりを柱に、災害時に人と施設、資機材等が敏速、円滑に運用できるよう見直しを行うものでございます。  具体的には、災害対策本部組織の改正、災害発生時の職員参集方式の見直しなどを行っており、さらに震災や風水害対策等、各災害ごとにそれぞれ予防、応急、復旧、復興対策について、だれもが見やすくわかりやすい計画となるよう現在作業を進めているところでございます。本年五月の防災会議には提案できる見込みとなっております。  なお、本年度から平成八年度にかけまして震災対策基礎調査を実施しており、その結果次第では、さらに第二次の地域防災計画の見直しも考えられるところでございます。        〔六番 内田三千夫君 登壇〕 ◆六番(内田三千夫君) 防災対策についてのそれぞれ答弁をいただきましてありがとうございました。  防災はすべての部局にまたがっておりまして、御承知のように、火災でしたら消防局、また昨日答申が済みました災害医療等については保健衛生局、防災公園は都市局、非常用物品の備蓄等は市民局、避難場所は小中学校の教育委員会、道路整備は建設局と、それぞれが行政のコーディネートといいますか調整機能をやらないと、なかなか防災というのもそれぞれの部局でばらばらでは、よく言われるような縦割り行政になるということでありますので、その点、ぜひ各防災につきましては、すべての部局が共通の認識、共通の理解をそれぞれ図る連携行政機能の充実と確立というのが大切だと思います。  また、都市防災につきましては、災害発生の折、最小限の被害で食いとめるには、緊急輸送路、延焼遮断帯となる道路の整備は大変重要でありますし、また、狭隘道路の整備についても早急にはなかなか、またいろんな課題がありますので、この点についても少しずつでも改善されますようにお願いいたしたいと思います。  また食料等の備蓄につきましては、やはり人が家から出なければならない、何かで圧迫されたときにどこに行くかというと、やはり一番身近な小学校や中学校がなじみがありますので安心と、施設もありますし体育館もある、水道もあるということで、とっさの場合は小中学校が一番避難場所として大勢の人が集まりやすいのではないかという認識をいたしておりますので、将来において、一次段階、二次、三次ということで備蓄の確保を行っていかれるということでございますので、ぜひ検討していただきたいと思います。  また、地域防災計画というのは、今までが、先ほどお話がありましたように水害対策が中心だったと思います。今後は総合防災対策、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえた震災対策を含めて水防、火災、それぞれの防災についての総合防災対策の計画というのを早急にお願いいたしたいと思います。特にこの地域防災計画は防災に関する全市民の指針となるべきものであります。災害に強い都市づくりを目指して取り組まれるようお願いをいたしたいと思います。  次に、福祉問題についてお尋ねいたします。  人口の年齢構造は、一般的に十五歳未満の年少人口、十五歳から六十四歳までの生産年齢人口、六十五歳以上の老年人口の三つのグループに分けられます。総人口の中でこの老年人口の割合が増加することを通称人口の高齢化と言い、老年人口のうち六十五歳から七十四歳までを前期高齢者、英語で言いますとヤングオールドと呼び、七十五歳以上を後期高齢者、オールドオールドと区分して呼んでいます。そして、後期高齢者になるにつれ心身の機能が衰えてくるのが一般的で、そのため人生の実りの時期を迎えた高齢者の方々の日々の生活をだれがどのようなレベルで支えていくかが今大きな問題となっています。  我が国の高齢化の問題点の一つは、後期高齢者の増加により先々高齢化の中の高齢化が起きてくることであり、加えて、出生率の減少に伴う少子化社会が同時並行的に進行して、高齢化社会を支える若い世代が減少していくことにあるというのは御承知のとおりであります。  私の年代、私は昭和二十二年生まれでありますが、今年四十九歳になります。二十六年後には私も七十五歳となり、そのころには七十五歳以上の後期高齢者は高齢者全体の六割近くを占めると予測されております。  また現在、十五歳から六十四歳の現役人口は総人口の七〇%を占めていますが、この比率が年々減少し、現在五人の現役で一人の高齢者を支えているのが、将来は二人で一人を支えるといった深刻な事態となることも予測されています。  本市の高齢者の現状としては、四年前の平成四年の老年人口八万五十三人のうち前期高齢者は四万六千七百三十一人、後期高齢者は三万三千三百二十二人で、高齢化比率は一二・六%でありました。本市老人福祉計画の予測では、高齢化率一六・〇%と見込まれております。このような高齢化の中の高齢化が進む中、本市では平成六年度から平成十一年度までの六カ年を計画期間とした老人保健福祉計画が実行されております。  基本理念として、人間性の尊重。支え合い助け合うコミュニティーづくり。健康、生きがい、安心を掲げ、またこれに基づいて在宅サービスの拡充、保健福祉施設の拡充、痴呆性老人のためのサービス。生きがいと健康づくり。総合的なサービス提供体制の確保の五つを重点施策として取り組まれているところであります。そしてこの計画では中間年度の平成八年度に見直しをすることになっていますが、今後どのような方針で見直していかれるお考えでしょうか。二年間の達成状況とあわせてお尋ねをいたしたいと思います。  次になりますが、平成八年度の重点事業として国保財政健全化対策と国民年金事業の推進があります。いま一度、国民健康保険、国民年金の原点と意義というものを考えてみたいと思います。  皆様御承知のように、国民健康保険は自営業者や農業従事者や退職者等、被用者保険に加入していない人を対象にして、病気やけがに備えて日ごろから保険料を出し合う相互扶助を基本の精神とした仕組みとなっており、病気になったときに医療費の三割の自己負担を支払うだけで治療を受けられます。  しかしながら、近年は、高齢化社会の進展に伴い、医療費、特に老人医療費が高くなり、その財源を支える保険料収納につきましても、低所得者を多く抱えるという国保の構造的問題の中で、国保財政は厳しい状況下にあると聞き及んでおります。  このような状況の中で、市民の健康を守るためには国保制度の長期的安定が求められております。特にこの保険のありがたさを実感できることとして、医療費が高額になっても、例えて言いますと、胃潰瘍の手術で一カ月入院し、その医療費が百万円かかった場合、自己負担三割の三十万円が高額療養費の適用により六万三千円で済むという、高額医療費は三段階ございますが、市民にとって安心して十分な医療が受けられる大変ありがたい制度であります。  また、国民年金制度は、憲法第二条第二項の理念に基づき、老齢、障害、または死亡によって国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって防止し、健全な国民生活の維持向上に寄与することを目的とする制度であります。したがいまして、国民年金は広く国民を対象とした制度で、二十歳から六十歳までの四十年間、保険料を納入した人が原則的に老齢年金を満額受給できる機構となっておりますが、何らかの事情によりその支払いが滞った場合でも、通算して二十五年以上納入していることによってその受給権を得ることのできる仕組みとなっております。  二十一世紀を間近に控え、我が国は本格的な高齢者社会を迎えようとしておりますが、将来を展望するとき、長い人生を、だれもが安心と生きがいを持って暮らせるよう、人生八十年時代にふさわしい活力ある高齢社会の構築に取り組むことが必要であります。  こうした中で公的年金は広く国民に浸透し、老後生活の柱としてなくてはならないものに充実発展しておりますが、本格的な高齢化社会においてますますふさわしいものにしていくことが何より重要と考えております。また、高齢化の進展や出生率の低下など、年金を取り巻く情勢はますます厳しいものとなっておりますが、こうした状況を見据えて、将来においても長期的に安定した年金制度としていくことが求められております。  しかしながら、時代の変革により、人の意識や考え方の多様化により本市においても未納者がふえる悲しい傾向にあるとも聞いております。医療と所得の社会保険制度を健全なものに築き上げるためには、適正、公平、応分な負担を行い、健全なる財政基盤を確立していくことは大変重要なことであると考えます。  そこで平成七年度の国保の財政状況、また国保の健全化を図るため国保料収納率向上対策、及び医療費適正化対策にどのようにして取り組まれているのかお尋ねいたします。  また、国民年金事業の推進として、平成七年度の国民年金保険料の収納状況、また未納者に対する今後の対策、及び加入者への啓発推進についてもお伺いいたしたいと思います。  第三点に、福祉問題でもう一つ、エンゼルプラン、少子化社会への対応についてお尋ねいたします。  エンゼルプランとは、少子化時代における総合的な子育て支援対策として、平成六年三月の二十一世紀福祉ビジョンを受けて六年十二月に、厚生、文部、労働、建設の四大臣合意により策定されたものであります。  内容は、子供を持ちたい人が安心して子供を産み育てられる社会環境づくりを目指したものであり、大きな柱としては、共働き世帯の増大に対応して子育てと仕事の両立を支援するための対策、地域において子供が健やかに育つための環境の整備、また、家庭において安心とゆとりを持って子育てができる条件の整備といった、保育、雇用、教育、住宅等広範囲にわたるものであります。  具体的な事業としては、五年間の緊急保育対策が進められており、ゼロ歳児から二歳児までの低年齢児保育を全国で四十五万人から六十万人に、午後六時以降の延長保育をする保育園を二千二百三十カ所から七千カ所にするなどの数値目標が掲げられています。このような国の施策に対して、県においても平成八年度からエンゼルプランづくりが行われており、平成九年度中に熊本県版が策定されることになっております。  平成七年度中には、このような地方版エンゼルプランづくりのモデル自治体として、十七都道府県六十六市町村が厚生省の補助を受けて策定に取り組んでおり、最終の報告がなされれば大いに参考資料になるものと考えられます。  ここ二十年間の保育所年齢別入所児童の県調査によりますと、三歳児以上はほぼ横ばいにて移行していますが、ゼロ歳児から二歳児までは大幅に増加の傾向をたどっており、特にゼロ歳児の入所希望家庭が増加傾向にあり、昭和五十年度に三百九十五人であったのが、平成五年度には五倍の約二千人となり、また平成六年度、七年度も乳児保育が急激に増加をいたしております。  そこでお尋ねですが、本市では、平成八年度の重点施策として少子化社会への対応をどのように考えておられますでしょうか。  それから、昨年度におけるゼロ歳児から三歳児までの入所状況、特にゼロ歳児のここ数年の推移はどのような形態になっているでしょうか。  また最近、保育料の未納が多いと聞き及んでおりますが、実態はどうなのでしょうか。また未納者に対してはどのように対策を考えておられますでしょうか、お尋ねをいたします。        〔市民局長 市原敏郎君 登壇〕 ◎市民局長(市原敏郎君) 内田議員にお答えを申し上げます。四点でございましたので、おのおのお答えを続けて申し上げます。  まず第一点の老人保健福祉計画の進捗状況とその見直しの基本的方針にお答え申し上げます。  この老人保健福祉計画は平成六年二月に策定いたしまして二年が経過をいたしております。この間の進捗状況につきましては、まず施設整備面を申し上げますと、特別養護老人ホーム、計画策定後二カ所建設し、今年度中には十二カ所になる予定でございます。  次に、デイサービスセンターにつきましては、民間及び公設ともに整備を進め、昨年九月に建設いたしました西里デイサービスセンターが計画策定後五カ所目でございます。痴呆性専用の三カ所と合わせまして現在十八カ所、今年度中には二十カ所になる予定であります。  次に、在宅介護支援センターにつきましては、特別養護老人ホームを有する社会福祉法人あるいは老人保健施設を有する医療法人を母体としてその設置を進めております。計画策定後六カ所を設置し現在二十カ所、今年度中に二十一カ所になる予定であります。  次に、制度面の整備について申し上げます。  高齢者の在宅生活を継続させるためには福祉のサービスだけでは支え切れない状況でございまして、保健、医療、福祉のサービスが一体となって初めて家庭介護ができるものと考えます。このため、在宅介護支援センターを中心として、その高齢者にかかわりのある保健婦、ホームヘルパー、看護婦、あるいは民生委員や家族が集まり最もよい介護方針を話し合う、高齢者サービス調整チームを平成七年二月から在宅介護支援センターごとに設置をいたし、現在まで十六回の調整会議を開催いたしております。  次に、在宅福祉サービスの中心とも言えますホームヘルプサービスでございますが、社会福祉協議会、福祉公社に加え在宅介護支援センターにも委託を拡充いたしました結果、待機者が解消され、さらに緊急時の派遣が可能になったところであります。また早朝や夜間の派遣に加え、派遣回数の増加を図るとともに、介護を行っている方々の負担を少しでも軽減するために、日中はもとより、夜間、深夜にわたってお世話をする二十四時間巡回型サービスの平成八年度の実施に向け準備をいたしております。  次に中間見直しについてお答えを申し上げます。  介護が必要となられた高齢者に対して満足のいく十分なサービスを提供することはもちろんであります。加えまして、寝たきりや虚弱にさせない対策、リハビリであります。これが大変重要になろうと考えております。また、広く市民の意見を聞くために、学識経験者や福祉関係者、市民の代表の方々から成る熊本市老人保健福祉計画推進委員会をこれまで二回開催をしておりまして、この会議の中で、公的介護保険制度の導入を見据えた基盤整備が必要ではないか、あるいは家庭介護者の研修を充実させたらどうかなどの意見をいただいておるところであります。  計画の見直しに当たりましては、この計画を実効性のあるものとするため再点検を行うとともに、貴重な御意見を拝聴しながら、利用者本位の視点に立って見直しをしてまいりたいと考えます。  次に、国民健康保険事業の推進について三点の御質問にお答えを申し上げます。  まず、国民健康保険財政は、急速な高齢化に伴い医療費が増加する一方で、経済成長の低迷に伴う保険料収入の伸び悩みなどにより赤字構造体質に変化するなど深刻な事態になっておりますことは、議員が先ほどお述べになりましたとおりであります。  本市の国民健康保険会計の財政状況の推移を見てみますと、歳出面での医療費の増加に対し、歳入面では、平成元年度から六年間保険料を据え置く中で、一般会計からの多額の財政支援を受けながら、平成五年度末においては収支の均衡を保つまでの財政努力を重ねてきたところでありますが、先ほど触れましたように、急速な高齢化による医療費の伸び、経済成長の低迷による保険料収入の減など、平成六年度決算において三億七千万円余の赤字が生じております。したがいまして、平成七年度におきましては、歳入面において八%の保険料引き上げをお願いしたところでありますが、医療費の増加が続いておりまして、赤字決算が見込まれる厳しい財政状況にあります。  国保財政の健全化のためには、歳入の大きなウエートを占める保険料の収納率向上が重要な課題であります。そのために、未納者の状況に応じて早期に適切な措置を講じることが必要であり、保険委員及び徴収嘱託員と職員の戸別訪問により、制度の理解を求めながら、負担の公平という観点から納付指導に努めております。さらに、納付の利便を図るため、本年四月からは納付窓口を郵便局まで拡大するとともに、郵便局の自動払い込み制度も含めて口座振替の推進を図ってまいります。今後、収納体制を整備するなど、なお一層収納率向上に努めてまいります。  次に、医療費適正化対策についてお答えを申し上げます。  健康で暮らすことはだれもの願いであります。自分の健康は自分で守る、これが基本であるかと考えます。このことがひいては医療費の低減につながってまいります。このようなことから、国保の医療費適正化対策につきましては、被保険者に対する適正受診の啓発及び疾病の早期発見、早期治療につながる人間ドック費用の助成、また疾病分析に基づく健康教育や健康指導など健康づくりに向けた施策を実施してまいりたいと考えます。  いずれにいたしましても、国保は市民の健康保持増進に大きな役割を果たす重要な地域医療保険制度でありますので、足腰の強い制度として維持していくために、歳入面におきましては、ただいま申し上げましたように、国保料の収納率向上対策、歳出面におきましては、医療費適正化対策及び健康づくりの推進等、収支両面にわたる運営努力を重ねながら健全化に努めてまいりたいと考えます。  次に三点目、国民年金事業の推進について三つの御質問にお答え申し上げます。  国民年金は昭和三十六年に発足し、三十余年を経た現在、本市におきましては約十六万人の被保険者と約六万七千人の受給者数に達しており、まさに公的年金制度の主柱として市民の生活に定着をしてまいっております。  特に昭和六十一年四月に施行された年金制度の改正は、目前に迫った高齢化社会の到来に対応するために行われたもので、すべての国民が加入し、すべての国民に基礎年金を支給する制度となっております。しかしながら、いまだに若年層を中心として国民年金の未加入者や保険料未納者が少なからず存在しておることも事実であり、公的年金制度の基本理念であります世代間扶養の原則に対し理解を得ながら事業を推進しているところであります。  そこでお尋ねの収納状況についてでありますが、平成七年に社会保険庁が発表いたしました加入・収納に関する都市分析によりますと、全国平均で加入率は九一・二%であります。また収納率が八〇・六%となっております。本市におきましては、加入率九五・一%、収納率八三・二%と平均を上回っておりますが、今後とも一層収納率向上に努めてまいる所存であります。  未納者対策といたしましては、制度周知を図りながら、年金委員、推進員及び職員一丸となって戸別訪問による納付指導、また銀行口座振替を勧め、さらに平成八年度から郵便局で実施を予定しております自動払い込み、このようなことを進めてまいりたいと考えます。  年金加入への啓発推進でありますが、、市民一人一人の老後の所得保障と公的年金制度自体の健全な運営化の観点からも大変重要であろうと考えますので、市政だよりを初めテレビ、ラジオ、新聞など、あらゆる手段を通じまして、常に年金が話題に上りますよう鋭意努力をする所存であります。  最後の四点目、エンゼルプランについて三つの御質問にお答えを申し上げます。  まず、二十一世紀の少子化社会への対応につきましては、私は、児童の健全育成と子育て支援といったことが二つの大きな柱ではないかと、このように考えます。  まず児童の健全育成対策につきましては、教育委員会等における対策は別にいたしまして、毎年秋に熊本市動植物園でわんぱくまつりを開催しておりますほか、保育所を中心に高齢者との触れ合いや、年齢の異なる子供同士の交流、ボランティア体験などを行う保育所地域活動事業など、子供たちの豊かな人間性をはぐくんでいけるような事業を積極的に進めてまいりたいと考えます。  次に子育て支援対策につきましては、そのポイントの一つは育児負担の軽減、もう一つは仕事と子育ての両立支援にあると考えております。  まず育児負担の軽減といったことでありますが、核家族化の進行に伴いまして、かつては大家族の中でおばあちゃんから母親へ、母親からその子へと伝えられていました子育ての知恵といったものが伝わらなくなっており、育児に強い不安感や孤立感を抱く若いお母さんがふえているのではないかと考えます。  そのようなことから、保育所の持つノウハウを生かしながら子育て相談や育児サークルの育成などを行う地域子育て支援センター事業の拡充や、乳幼児の健全育成のための電話相談事業など、育児の負担感を軽くするための対策といったことにも引き続き積極的に取り組んでまいります。  また、仕事と子育ての両立支援対策といたしまして、労働時間の短縮や育児休業といった雇用、就業サイドの対策等と同時に、福祉サイドの取り組みといたしまして時間延長型保育や一時的保育、乳児保育など多様で弾力的な保育サービスの充実を図り、安心して働き、安心して子供を産み育てられる環境づくりを進めてまいりたいと思います。  次に、ゼロ歳児、一歳、二歳児のいわゆる未満児についてのお尋ねでありますが、その入所状況を平成二年度と平成七年度を比べてみますと、総数で二千六百八十八人から三千四百六十四人と約三〇%ふえ、また全体に占める割合も三一%から三五%にふえております。中でもゼロ歳児の推移は総数で三百四十五人から五百二十八人と約五三%もふえ、全体に占める割合も一二・八%から一五・二%にふえております。  こうしたことの背景といたしましては、子供が生まれたら仕事をやめるといったことから、子供が生まれた後も仕事を続けキャリアを積みたいというふうな価値観なりライフスタイルなりがかなり変わってきていることが挙げられます。  こうした状況を踏まえ、国の緊急保育対策五カ年事業では、平成六年度から十一年度までの間に、未満児の入所を一・五倍にするとの目標が掲げられているところでありますし、本市でも調乳室などの整備や保母の加配などを通じて、未満児の受け入れ条件の整備に積極的に取り組んでおります。  次に保育料の滞納についてお答えを申し上げます。保育料は前年度の課税額に基づいて決定されるため、課税後の失業や倒産などによる所得の減少などによって、どうしても滞納が生じることがありますし、また子供が卒園いたしますと納付意識が薄くなるといった問題もございます。  そうしたことから保育料の滞納が生じておりますが、言うまでもなく、滞納がふえるということは、社会的不公平、財政への悪影響といったことで、制度そのものを揺るがしかねないことになろうかと思います。したがいまして、今後こうした未納者対策として、夜間、保護者が仕事から帰った時間を見計らっての電話でのお願いでありますとか、滞納早期の働きかけ、あるいは口座振替の推進など、保育料を払いやすくする工夫などによりまして、保育料の収納促進に努めてまいりたいと思います。        〔六番 内田三千夫君 登壇〕 ◆六番(内田三千夫君) 福祉計画については非常に重要な問題でありますので、今後老人福祉計画の中で進めていただきたいというふうに思っております。  特に二十四時間ホームヘルプサービスにつきましては四百五十万の予算がついております。ただ、運営方式、ヘルパーさんたちの勤務体制、深夜のバックアップ等、いろんな問題があろうかと思いますが、秋に向けてさらにヘルプサービスの充実、公的介護保険の最終答申も三月二十一日ごろに出るというような話であります。そうなりますと、公的ヘルパーサービスの充実というのは非常に大切なことになってくるのではないかと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。  それから国民健康保険と年金でありますが、人間やはり二つの不安といいますか、老後の不安というのは健康と経済的な生活基盤だろうと思います。特に健康について、国民健康保険とは、よく言うように皆保険、皆年金制度、これは日本の社会保障の急成長を促してきた、主導になってきたということで、国際的に見てもユニークな政策という位置づけをされております。そういう意味からいきますと、お互いが助け合い、お互いが支え合う互助的な保険、高額医療を受ける場合も安心して受けられますし、年金は一定期間納めれば受給年齢から一生支給されますので、こういったものを市民の方々への理解と協力、また納得して納めていただくような基盤づくりを大いに推進していただきたいというふうに思います。  またエンゼルプランにつきましては、特にゼロ歳から二歳児の子育て支援対策には、高齢者対策と違った視点から大事なことであると思います。若い世代が共働きでもしやすいような環境づくり、時間延長保育サービス、安心して子育てできる条件整備をぜひ充実させていただきたいと思います。  時間もありませんので、あとは学校五日制の方の答弁だけをお願いしたいと思いますが……(笑声)もうつくっていらっしゃいますから……(笑声)そこで、ちょっと言いますけど、これが原稿用紙五枚ばかりあるのですよ。読んでいると時間がありませんので……せっかくつくりましたから読みたかったのですが……。  子供に生きる力とゆとりを表題に、今後の教育のあり方として国際化、高齢化、情報化など厳しい変化の時代を生きる力を育てることを基本にして主体的に問題を解決する能力や、他人を思いやる人間性などを挙げ、これを育てるためには、社会全体のゆとりの回復と受験競争の緩和が必要だとされています。五日制につきましては、きょう午前中嶋田議員の方からも取り上げられました。  そこでお尋ねですが、国では、このように月二回の学校五日制から完全五日制実施を目指していくわけですが、熊本市内における学校、保護者、児童の五日制に対する現在の認識や現状で残る課題、また土曜日に保護者が家庭にいない低学年の子供や障害等のある子供の過ごし方に、五日制が導入された現在で問題はないのか、お尋ねいたしたいと思います。  また中心部の小学校の児童減少についてお伺いいたします。  本市中心部は、これまでの教育行政においては都市化が進み、居住者増加に伴い児童数増加の地域につきましては、大規模校解消の分離校新設等を行っておりますが、反面、小規模校解消につきましては具体的な対策は立てておられず、通学区域の緩衝地区微調整にとどまっているのが現状だと思われます。中心部小規模の小学校を幾つか挙げてみますと、城東小学校が明治五年、碩台小学校が明治六年、慶徳小学校が明治七年、五福小学校が明治八年開校となっており、百二十数年の長きにわたり多くの卒業生を送り出した熊本市内有数の伝統と歴史を誇る名門小学校であります。  その名門小学校も年々児童数が減少しつつあり、ここ数年さまざまな活動に支障を来して、児童の健全育成にも影響を及ぼしているのが現状であります。児童減少によるさまざまな弊害として、PTA行事や学校行事、地域行事の盛り上がりが不足することや、児童の競争意欲や、お互い切磋琢磨して頑張り抜く機会に恵まれず、過保護を生み出す要因となったり、部活動も人数がそろわないで運営が困難となったり、クラスがえをしにくくするので、友達関係が狭くなり固定化したり、ひいては先生同士の向上心にも影響を及ぼすことにもつながっています。大規模校にはまた違った教育環境の課題がありますが、小規模校ではこのような数多くの課題を抱えております。小学校における児童の適正規模は、一学年二クラスか三クラスの十二学級から十八学級が理想とされておりますが、最低一学年二クラスの四十一名すら遠く達しないのが現状であります。教育委員会としてどのようにお考えでしょうか。  またこのような現象は本市だけの問題ではなく、大都市ほど進んでおり、福岡県博多区の四つの小学校でも、一校に統廃合する方針を福岡市が固め地元に提案していると聞き及んでおります。このような統廃合問題は政令都市の京都、大坂、神戸、北九州でも論議されているところであります。  私はただ単に、効率化のみでの小学校統廃合には大反対でありまして、若い世代が定着するような中心部定住化対策がなければ同じことを繰り返すだけであり、多くの母校愛を持つ卒業生や地域社会に溶け込んでいる人ほど、その思いは強いものであると考えております。  全市域のバランスのとれた教育環境を構築するためにも、また二十一世紀を担う児童の健全成長を願うためにも、小規模校活性化対策についての教育長のお考えをお聞かせください。  また、中心部定住化対策として、これは少子化時代への対応にも共通すると思いますが、公営住宅の高齢者専用のシルバーハウジングと同様に、少子化時代へ対応した共働き夫婦や若年夫婦専用の公営住宅建設も考えたらと思いますが、いかがでしょうか、この件に関しては建設局長にお尋ねいたします。        〔教育長 後藤勝介君 登壇〕 ◎教育長(後藤勝介君) 私の方から、学校週五日制の問題と、中心部の小規模校の問題についてお答え申し上げます。  まず、学校週五日制に関連をいたしまして、現在の認識や課題ということでございます。  学校週五日制導入の趣旨は、子供たちがゆとりや、家族、地域と触れ合う時間を多く持つことで社会性や協調性を養ったり、あるいは自分の興味、関心のあることに取り組めるようにして、豊かな人間性をはぐくんでいくことにあります。  本市におきましても、この制度の趣旨の実現に向けまして、教師、児童・生徒を対象としました実態調査や、博物館、美術館の催し物の紹介、さらには地域行事への参加の呼びかけなども含め取り組んでまいりました。  その結果としまして、本市の児童・生徒を対象にした調査によりますと、土曜日が休みだとゆっくりできるという意見のほか、友人との交流や地域の行事への参加ができるなど、多くの子供たちがこの制度を歓迎しているようでございますが、一方で、子供と教師が触れ合うためのゆとりを生み出すことが難しいという声もあります。  なお、文部省が平成六年三月に行いました学校週五日制についての意識調査によりますと、これ以上土曜日の休みをふやすことはないという保護者の意見が約五割近くあります一方で、児童・生徒、教師の七割以上が賛成しているという状況でございました。  このような状状の中で、現状での課題といたしましては、ただいま御指摘がございましたように、平日の時間割が過密になっていることや地域の受け皿の問題等々に解決すべき点が多くあると認識しております。教育委員会といたしましては、学校行事の見直しなどをさらに進め、子供と教師が触れ合うゆとりの時間の確保に努めますとともに、中学校区さわやか推進事業などを通して、子供の学校外での体験活動に取り組み、学校、家庭、地域の連携を図り、課題の解決に向けて努力をしてまいりたいと考えております。  さらに、土曜日に保護者が家庭にいない子供や障害などのある子供たちへの対応につきましては、学校週五日制の完全実施等も考慮に入れながら、さらに条件整備に努めてまいりたいと考えております。  なお、本市におきましても保護者の意識調査を実施し、学校、家庭、地域の連携のあり方や二十一世紀に生きる力をはぐくむ教育の創造に努めてまいりたいと考えております。  次に、中心部におきまして小規模になった学校の活性化についてお答えを申し上げます。  小学校の適正規模につきましては、学校教育法施行規則の中で、特別の事情がない限り十二学級から十八学級以下を標準とすると定められておりますが、先ほど申されましたように、本市の中心部にございます小学校で十二学級に満たない小規模の学校が数校ございます。そして児童の学校生活等にいろいろの点で課題が生じており、小規模校における教育のあり方を考える必要が生じております。現在、教育委員会といたしましては、小規模校のよさを生かしながら、伝統と歴史を引き継ぎ発展させる努力をしますとともに、少人数の弊害を克服する工夫をしているところでございます。
     その一例を申し上げますと、学校から積極的に地域に働きかけながら地域の方々との交流を図り、地域ぐるみの特色ある学校づくりを進めているところもございます。この取り組みによりまして、児童たちはそれぞれの年齢層の方々から生きる知恵や生き方を学びますとともに、校区のよさに気づき、地域に対する愛着心も育ってきているようでございます。また一方、地域の方々は、児童に接し指導することに楽しみと生きがいを感じられるようになったとの声が聞かれ、学校と地域相互の活性化が図られております。  さらにまた、少人数の弊害を克服する一つの方法としまして、近隣校と合同で学校行事を実施する努力もいたしております。他校の児童や先生方と触れ合うことによって、自分の学校だけでは味わえない楽しさや厳しさを児童たちは体験しているところでございます。  今後さらに、学校と地域との交流や各学校間の交流を推進しながら、小規模校の活性化を図り、学校、家庭、地域が一体となって、児童が明るく楽しい学校生活が送られますよう努力をしてまいりたいと思います。        〔建設局長 齊藤 聰君 登壇〕 ◎建設局長(齊藤聰君) 私からは、共働き夫婦、若年夫婦世帯専用の公営住宅建設についてお答えをいたします。  御承知のとおり、高度経済成長期以降の都市のスプロール化は、都心部の空洞化による都市機能の低下や活力の衰退を招く結果となっております。その解決策は、まさに御指摘をいただきましたとおり、都心部での住環境の改善と再整備にあると言われております。  しかしながら、都心部に新たに市営住宅を建設することにつきましては、膨大な用地取得費を考えますと現実的には困難な面もあり、このため、民間の遊休資産等の活用など民活型の施策を講じていくことが、都心地域における住宅施策として有効な手法の一つであると考えております。  本市では、地上権を買収し一定階層以上を市営住宅として供給する都市型市営住宅古川町シティハウスを平成六年に慶徳校区に整備しており、また、御指摘のありました共働き夫婦、若年夫婦などの中堅ファミリー層向けの住宅としましては、特定優良賃貸住宅、いわゆる借り上げ住宅を既に二カ所で供用開始しているところでございます。  インナーシティー問題が顕在化している旧市街地と言われる地域につきましては、これらの多様な供給方式をさらに積極的に活用しながら今後の住宅施策を展開していかなければならないと考えております。  加えまして、旧市街地におきましては、無秩序な民間賃貸住宅の立地や無計画なミニ駐車場の建設などによりまして、必ずしも良好な住環境とは言えない地域も一部見られ、長期的にはまちづくりという視点から、全面的な住宅地再整備を検討していく必要があるものと考えております。  内田議員の貴重な御質問の趣旨は、現在策定中の住宅政策の長期的、総合的な計画であります住宅マスタープランの中で十分に取り込ませていただきたいと考えております。        〔六番 内田三千夫君 登壇〕 ◆六番(内田三千夫君) もう時間も二時間たっております。  あと一つ、これは最後にボランティア保険を市長にぜひ答えてほしいとお伝えしておりましたので、最後の質問で、時間を超過して申しわけございませんが、市長もせっかくお答えをしたいということでございますので、それだけさせていただきたいと思います。  ボランティアと申しますと自由意思の意味のラテン語のボランタスを語源として、志願者や義勇兵などの意味であり、通常においてはみずからの意思で見返りを期待しない社会的貢献を言います。また、ボランティアは人助けとも見なされておりますが、ボランティアの実戦者の方からすると、助けられているのはむしろ私の方だという連帯感があり、ネットワークを形成する実感があると言われています。助けるつもりが助けられ、個人の力の及ぶ範囲は極めて小さいはずなのに意外な展開が結果をもたらす効果をボランティアは内在しているようです。  昨年一月の阪神・淡路大震災の発生により五千人を超える犠牲者を出した被災地に、だれからも指示を受けたり命令を受けることもなく、いち早く避難所で温かい食事を用意したボランティア活動が登場して、また、さまざまな人がさまざまな形の活動を申し出たことは、日本にもボランティアの理念が根づきつつあるとの認識のあらわれだと思われます。欧米に比べると、宗教的観念の違いから、日本のボランティアは非営利性や公益性などの面において難しい点がありますが、今後その理念の定着が期待されています。  ボランティア活動というと、これまでは高齢者や障害者を対象とした福祉型の活動が一般的でしたが、現在では社会福祉の分野、社会教育の分野、国際協力の分野、人権擁護の分野等多岐にわたって活動がなされております。  本市では、このようなボランティア活動の参加を活発にできるような体制を築くため、年間二十日間の年次休暇とは別枠の制度化を検討されてきましたが、国家公務員にはこのような制度がなく、国との均衡上自重を余儀なくされておりますが、人事院は、阪神大震災を契機として、昨年から公務員のボランティア休暇の内部研究に入っているとのことでもあり、時代の要請として社会に受け入れられる日は必ず来るものと考えられます。  そこで、ボランティア活動につきまして三角市長の御答弁をいただきたいと思います。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) ボランティアの意義について議員御指摘をいただきましたけれども、私は六十二年の六月の県議会の本会議におきまして、当時の細川知事にボランティア休暇をつくったらどうかというふうな投げかけをいたしました。そのときに論議をされましたのが、公務員はすべての時間が市民、県民の奉仕者であるので、言うならばプロのボランティアだと、そういうことでボランティアをするのが適当かどうかというふうな話になったことがあるんですけれども、その当時から私は、ボランティアの意義として、一つの定義づけといたしまして、個人の休日や休暇を使ってやるのがボランティアというふうに言われておったわけですけれども、休日の意義が今だんだんきちんとしたものに唱えられてまいりまして、外国では休む時間は休まないと社会に対する貢献はできないというふうに言われております。特に福祉に携わる公務員の皆さん方は土曜、日曜の休暇が今でも非常に少なくて、体を壊して、ついには退職をしなきゃならぬという人が随分多かったんです。  私は、休日は休日としてあるべきだと、休日を使ってボランティアというのは考えてはならないんだというふうなことを思っておりまして、当時から随分訴えてまいりました。公務員がボランティアをやるというのは、そのときの私の考え方といたしましては、与えられた職以外に大変な特技をそれぞれ持っている人たちは、その特技を生かして社会に貢献するものだと、また地域コミュニティーづくりを公務員の体験として入り込んでいってやるんだと、それから労力、人手の提供をやるんだと。この人手の提供というのは、障害者、高齢者の方々はいわゆる土曜、日曜しか活動ができない、そういうことで土曜、日曜に公の行事を組むわけです。そうしますと土曜、日曜が休暇というふうな考えの来賓の方々は当然欠席をするわけです。そういうことからウイークデーにそういう外出の機会をもっておりたいというふうな方々が随分多いわけでありまして、そういう場合に休暇をとってお手伝いをするというふうなことが考えられるわけです。  そしてまた高齢者の方々や特にひとり暮らしの方々には話し相手になっていただくということが非常に念願をされておりますので、向こう三軒両隣の町内のひとり暮らしの方々という人たちには当然休暇をとって話し相手になる、あるいは碁、将棋の相手をする、あるいはヘルパーさんが来るようなところにおいても草取りまではやってくれないということもあるわけです。  そういう労力の提供、そしてそういうことが職員の心の涵養につながる。そしてまたもう一つはちまたの意見の聴取が非常にできていく。そしてまたいざというときの機敏性を培い、そして一般の方々の生命を守るための誘導をしていく。そういう観点から私は公務員のボランティア休暇をずっと訴え続けてまいったところでございます。  このところそういう話が漏れ伝え聞こえて、国とか県とかでいろいろ話があっておるようでありますけれども、私といたしましては、休暇の新設問題については新年度調査研究を詰めていき、国、県の意見も十分聞いていきながら、試行を含めた検討を進めてまいりたいと考えておるところであります。        〔六番 内田三千夫君 登壇〕 ◆六番(内田三千夫君) ボランティア活動につきましては、市長も、八年度において制度のあり方を調査した上で、九年度試行に入る旨を表明されております。  日本のボランティア人口は約三千二百十七万人とも報告されております。また、一部の民間企業においても、社会福祉機関で奉仕活動を行う期間の給料や賞与を援助金として社員に与えるボランティア休職制度や、職員採用においてボランティア活動の経験を評価したり、また、労働組合の中にはボランティアクラブを創設したりして取り組んでいるところもふえてきているようでございます。ぜひ三角市長には、本市から発信基地として自治体の先導的役割を大いに発揮していただきたいというふうに思います。  いろいろ質問の方も、私、三月議会でありましたものですから、随分項目的には取り上げておりましたけれども、なかなか最後三、四項目、ちょっときょう質問も答弁もできなかったんですが、またこれは改めて質問を、一年後二年後やるときにそれが通用するのであればしたいというふうに思います。  結びといたしまして、本市は大阿蘇に連なり、有明海に臨む大地の上、豊富な地下水に恵まれ、古くは熊本城を中心とした城下町として繁栄し、政治、経済、文化等多方面に九州の中心として着実に成長してまいりました。  戦後五十一年たち、国全体が社会環境の変化の中で、市民の価値観、生活様式も大きく変革しており、これまでの中央集権的構造から地方分権推進構造の時代への新たな移行が進むものと思われます。  三角市長初め執行部の方にお願いいたしますことは、中核指定都市にふさわしい、市民一人一人が、熊本に生まれてよかった、住んでよかったと実感できる魅力あるヒューマンシティくまもとづくりを目指していただきますようお願い申し上げます。  本日は私の質問に対しまして、市長初め執行部の方々には丁寧な答弁をいただきまして厚く感謝申し上げます。また、議員各位、超過いたしまして本当に申しわけございませんでした。並びに早くから傍聴にお越しいただきました方々には、最後まで御清聴いただき厚く御礼申し上げます。  それでは、これをもちまして私の質問を終了させていただきます。きょうはありがとうございました。(拍手)      ───────────────── ○副議長(宮原正一君) 本日の日程はこれをもって終了いたしました。  次会は明十四日(木曜日)定刻に開きます。      ───────────────── ○副議長(宮原正一君) では、本日はこれをもって散会いたします。                午後 四時十五分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり  平成八年三月十三日  出席議員 五十二名   一番 荒木哲美    二番 宮原正一    三番 坂田誠二    四番 藤山英美   五番 田中誠一    六番 内田三千夫   七番 重松孝文    八番 小山久子   九番 中松健児    十番 鈴木弘    十一番 古川泰三   十二番 税所史熙  十三番 山内光昭   十四番 下川寛    十五番 馬場成志   十六番 竹原孝昭  十七番 北口和皇   十八番 佐々木俊和  十九番 田辺正信   二十番 島田俊六 二十一番 河村寅麿  二十二番 田尻将博  二十三番 田尻清輝  二十四番 牛嶋弘 二十五番 岡田健士  二十六番 落水清弘  二十七番 益田牧子  二十八番 大江政久 二十九番 東すみよ   三十番 磯道文徳  三十一番 江藤正行  三十二番 主海偉佐雄 三十三番 伊形寛治  三十四番 奧田光弘  三十五番 鈴木昌彦  三十六番 諸熊文雄 三十七番 上村恵一  三十八番 西泰史   三十九番 亀井省治   四十番 中沢誠 四十一番 中村徳生  四十三番 嶋田幾雄  四十四番 竹本勇   四十五番 田尻武男 四十六番 白石正   四十七番 矢野昭三  四十八番 島永慶孝  四十九番 村山義雄  五十番 西村建治  五十一番 大石文夫  五十二番 紫垣正良  五十三番 西野法久 説明のため出席した者 市長      三角保之   助役      御厨一熊   助役      中村順行 収入役     岩本洋一   市長公室長          総務局長    野田晃之 市民局長    市原敏郎   保健衛生局長  工藤磐    環境保全局長  矢毛隆三 産業局長    村上智彦   中小企業局長  坂田憲一   都市局長    本田吉継 建設局長    齊藤聰    消防局長    吉原準二   交通事業管理者 谷壽夫 水道事業管理者 竈啓一郎   教育委員会委員長大橋綾子   教育長     後藤勝介 人事委員会事務局長      代表監査委員  服部公雄   総務部長    三嶋輝男         行徳健次 職務のため出席した事務局職員 事務局長    田尻紘    事務局次長   岡本央    議事課長    松本豊 議事課長補佐  山田利博...